公共事業の今とこれから~県所管課長等に聞く㊦~
2025年12月16日号(2面に掲載)
県監理課技術管理室 宮下 浩一室長/ICT施工 対象を拡大 適正な工期にも注力
働き方改革や生産性向上が求められる中、県内の公共工事でもICTの活用や週休2日制などの取り組みが進む。一方で課題は多く、実情を踏まえた制度の見直しが欠かせない状況にある。県監理課技術管理室の宮下浩一室長に所管事業の動向や今後の見通し等を聞いた。
-ICT施工の動向。
2016年12月の試行開始から対象工種を拡大し、16、17年度が各2件、18、19年度が各16件、20年度48件、21年度93件、22年度105件、23年度96件、24年度は3月末完成工事で27件と近年は年間約100件程度で推移。25年10月から、発注者指定型の対象工事を1万m3から5000m3に拡大した。引き続き、国に合わせて工種の拡大に努めるなど取り組みを進める。
-週休2日制の状況は。
4週8休(工期全体)の取組率は、17年度29%、18年度26%、19年度29%、20年度61%、21年度78%、22年度96%、23年度98%、24年度99%(25年3月末完成工事を対象)と近年、定着しつつある。
これについては、20年度から県内の国、県、市町村等工事にて取り組んでいる「リフレッシュサタデー」(24年度から毎土曜日)の効果もあるのではないだろうか。
4週8休の内容も「工期全体」、「月単位」、「週単位」と段階を上げてきており、他産業と遜色ない建設業の働き方の実現に向けて、引き続き、推進を図る。
-働き方改革の課題。
ICT施工や週休2日の推進、情報共有システム・遠隔臨場の活用、適切な工期設定および書類の簡素化等の取り組みを行っており、今後も業界の方々と意見交換を行いながら必要な取り組みを進めていきたい。
-スライド条項の適用状況は。
単品スライドの適用実績は、20年度9件、21年度10件、22年度63件、23、24年度各40件の直近5年間で162件。いずれも増額で、このうち、生コンが68件、アスファルト合材が66件と全体の8割以上を占めている。23年度から購入価格が適当であることを示す証明書類を提出することで、その価格をスライド額の算出に適用可能となるように運用を見直した。
-建設業界に対して。
建設業は、地域経済や雇用の担い手、災害発生時に重要な役割を果たしており、継続的な人材の確保や長時間労働の是正など労働環境の是正が喫緊の課題である。県では、引き続き、持続可能な建設業の実現に向けて、働き方改革などの取り組みを着実に推進してまいりたい。

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