公共事業の今とこれから~県所管課長等に聞く㊤~
2025年12月13日号(2面に掲載)
県監理課 井之上 大課長/持続可能な建設業の実現 CCUS 中小規模へ拡大を
建設産業の担い手不足が喫緊の課題となる中、生産性向上や働き方改革を目指す取り組みが進む。建設キャリアアップシステム(CCUS)やICT施工などが拡充され、業界の対応も加速していく。県監理課の井之上大課長に所管事業の動向や今後の見通し等を聞いた。
-入札契約制度について。
総合評価落札方式は、2006年度の試行導入から段階的に対象工事の拡大をはじめ評価項目の見直しを行っている。
25年度から電気工事・管工事を対象工事に加えるとともに、週休2日の施工実績に代えて、ワーク・ライフ・バランスに関する評価に見直した。
また、委託業務についても砂防詳細設計を対象工種に加えた。今後も引き続き、業界団体等の意見を踏まえて、評価項目等の見直しを検討していきたい。
-CCUSの動向は。
県内で登録している技能者数は2万3114人で建設業従事者数(3万2831人)の約70%、事業者3137者(25年8月現在)で建設業許可業者(5729者)の約55%となっており、年々右肩上がりで増加している。県では、工事成績評定や総合評価の加点項目としており、25年度からは、さらなる運用拡大に向けて試行要領の対象期間(2週間以内の工事)を廃止し、全ての工事を対象とした。
参加企業のほとんどがA・Bランクであることから、中小規模の企業への普及拡大に向けて、建設従事者への説明会等での周知や市町村発注工事での取り組みへの働き掛けなど支援していく。
-担い手確保について。
建設業では、急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、限りある人材の有効活用と若者の入職促進による将来の担い手確保が急務となっている。
このため、県では、建設産業担い手確保・育成・定着促進事業により、合同企業説明会の開催などによる入職支援や就労者の職歴に応じた階層別研修などによる育成・定着支援に加え、現場技術者の負担を軽減し、業務を効率化する建設ディレクター導入への支援など、生産性向上支援に取り組んでいる。
また、建設業の働き方改革については、週休2日を考慮した適正な工期設定、設計労務単価における時間外労働の上限規制への対応に必要な費用の反映、債務負担行為の活用や余裕期間の設定等による施工時期の平準化、建設現場における生産性の向上を図るICTの活用に取り組んでいる。
県では、持続可能な建設業の実現に向け、関係団体とも連携して、これらの施策を推進していきたいと考えており、引き続き、建設業界のご理解・ご協力をお願いしたい。

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