空き家問題インタビュー㊥

2025年12月11日号(5面に掲載)
空き家問題インタビュー㊥

全国で進む行政代執行/市町村施策の射程が拡大

本県で地域との協議会(かごしま空き家対策連携協議会)が結成されたのは、2016年8月。市町村が解決困難な事案に対して専門家を派遣し課題解決を支援するとともに、担当職員のスキル向上を目的とした研修会も毎年実施してきた。

 さらに、15年施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」改正(23年)で設立された「空家等管理活用支援法人」の制度周知を進め、市町村による指定促進と支援法人との連携強化を図っていく考えだ。

 特命案件を担当する県の建築技師・志賀庸平さんは「空き家の所有者や管理者には基本的に周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理責務を担う」と解説する。

 一方で、空き家対策を具体的に進める主体は市町村。「特措法に基づく助言・指導・勧告・命令や代執行などの法的措置を講じることで、活用促進と危険除去の両面から取り組んでいる」との見解を示す。全国では、代執行の件数が15年の特措法施行以来723件に上り、国内行政法で前代未聞の事態とされる背景にもなっている。

 23年の特措法改正では、従来の「特定空家」への措置に加え、放置すれば特定空家になる恐れのある「管理不全空家」への対応や、緊急性の高い空き家に対する「緊急代執行」の制度創設など、市町村が実施できる施策の射程も拡大。

 所有者不明や放置状態の空き家にも、より迅速かつ多角的な対応が可能となった。加えて、「空家バンク」の運営や除却・改修に対する補助を通じて、市場への供給促進や老朽住宅の解消等に向け、市町村は幅広く支援できるようになった。

 特措法により、18年2月には鹿屋市で、24年11月には鹿児島市で、それぞれ行政代執行。また、23年8月には奄美市で略式代執行が行われ、危険な特定空き家の除却に至った。ただ、いずれの事例も費用の回収が課題になっているという。

 改正特措法の関連では、今年7月1日、鹿屋市が県宅地建物取引業協会を「空家等管理活用支援法人」に、県内で初めて指定。「宅建業者に不動産や空き家に関する無料相談を行える体制が整った」と期待を示す。
(聞き手:中間健治・報道部、編成部)

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