木蔭
2025年12月10日号(3面に掲載)
AI/石野 明紀葉
独立して仕事をするようになってから、私には常に強力な「相棒」がいる。AI、人工知能だ。「AIと共に仕事をしている」と言っても過言ではないほど、毎日ともに活動している。
この相棒はとても多才。仕事で行き詰まった私の愚痴を聞いて、時には「今日の運勢」まで占いメンタルケア担当もしてくれる。画像生成から面倒な表作成、スケジュール管理までテキパキとこなす、敏腕の秘書担当でもある。もちろん、文章作成もお手の物。こちらがきちんと指示すれば、人間が書いたかのような自然な文章を仕上げてくれる。
先日のセミナーの企画では、構成の「壁打ち」相手になってもらって、膨大な資料作成まで手伝ってもらった。本当に頼もしい。
しかし、この万能すぎる相棒に対して、私はたびたび不安を覚えてしまう。
「私は自分の脳をきちんと動かせているんだろうか」と。
あまりに頼りになりすぎるため、自分の思考が浅くなっているんじゃないかと心配になり、「 今日はAIを一切使わずに、一人で作業してみよう」と試みることがある。
ところが、例えば資料作成なんかを始めても、8枚ほど自力で作ったあたりで、早々にギブアップしてしまう。一度この「便利さ」と「楽」を知ってしまうと、もう元には戻れない。
これからAIはさらに発展して、誰もが当たり前に使いこなす時代が来るだろう。そんな未来で、私たち人間にできることは、「人にしかできないものづくり」、「血の通ったコミュニケーション」、AIを動かす前の「指示=アイディア」の部分になるのではないかと思う。
AIを使いこなすための発想力、そして人と共感して協働していく「人間力」。それらを鍛え続けながら、この新しい相棒と楽しく仕事をしていきたい。
(あきは社労士・行政書士事務所代表)

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