クローズアップ 薩摩川内市 「旧増田家住宅」で茅屋根葺替え
2026年02月24日更新
熟練の技で歴史つなぐ/長坂建設 阿蘇から専門職人迎え施工
薩摩川内市の入来麓武家屋敷群にある国の重要文化財「旧増田家住宅」で現在、14年ぶりに茅葺き屋根の葺き替え工事が行われている。施工を請け負った長坂建設(長坂正雄社長、同市入来町)は、全国でも数少ない専門の職人を県外から迎え入れ、1月下旬から工事に着手。見学会も実施するなど、めったに見ることができない現場の姿を発信している。
(田原謙一・常務取締役(兼)川内支局長)
旧増田家住宅は、入来麓伝統的建造物群保存地区内にある明治時代に建築された武家屋敷。2009年に当主から市へ寄贈されたのを機に大規模な修復工事(10~12年度)が行われ、13年度から一般公開が始まった。
敷地内でひときわ目を引く2棟の母屋は「おもて」と「なかえ」と称され、この屋根に茅葺きが施されている。今回の工事は、24年8月の台風被害や部分的な経年劣化を受けて市が発注し、受注者の長坂建設が阿蘇茅葺工房(熊本県)から専門の職人を迎え入れた。
材料の茅は、阿蘇の草原で生育されたススキを使用。古くなった部分を引き出し、そのすき間に新しい茅の束を差し込んで、刈り込みバサミや剪定用バリカンで先を切りそろえる。その後「雁木(がんぎ)」と呼ばれる手作りの道具で形を整えていくのが一連の流れだ。まさに熟練さが求められる伝統技術といえる。
現場を手掛ける阿蘇茅葺工房の3代目・植田龍雄代表は「鹿児島も含めて九州は雨が多い地域。茅は湿気が多いと劣化が早まるので、その地の気候や風土に合わせた施工が求められる」と話す。
茅葺き職人の数は時代とともに減少し、今や全国で200人にも満たない状況。この稀有な職人が1月下旬から当地に住み込み、歴史を息づかせている。
■地域一体で魅力発信へ
17日にあった見学会は、地元の入来小学校から3~6年生の児童ら約80人が参加。3年生以上が対象となる「ジュニア歴史ガイド」の学習の一環で行われ、8人の職人が茅葺き屋根の仕組みや熟練の手さばきを披露した。
貴重な体験に、5年生の卒場石琉李(そばいしるい)さんは「知らないことばかりで、すごく勉強になった。今後のガイドに生かしたい」と目を輝かせた。
入来麓地区伝建協議会の会長も務める長坂氏は「(文化財として)ただ保存するだけでなく、より多くの人に歴史に触れてもらう機会をつくることが大事。今後も地域一体となって魅力を発信していきたい」と力を込めた。
順調に進めば、工事は3月上旬に完了する。

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