薩摩川内市で自治会館を移設
2025年06月03日更新SDGs踏まえ曳家で
薩摩川内市平佐町の喜入自治会(下水流隆会長)は、避難所として活用するために山側から離す必要があった自治会館を曳家で移設した。SDGsの観点から既存建物を解体せず、安全を確保した上で増築および内部改修する。施工は植村組、曳家は江藤建設工業。
現会館は、W造平屋建て139㎡(正味約40t)で築30年が経過。背後の斜面の一部が土砂災害警戒区域等に指定されており、一次避難所とするため山側から約20m離し、地域の安全確保に役立てる。また、約60㎡増築し高齢者から子供たちまで楽しめるこども食堂や図書機能を持ったキッズルームなどを設ける。
工事は、基礎の上に仮受け(土台・井桁)を作って、連動ジャッキで上げて押す。5月28日には、住民のほか、建設コンサルタント会社などが建物約20度、回転させる工事を見学。萩原技研の測量・用地・補償課の児玉高志氏は「曳く場合、スペースがどれくらい必要かなども現場で知れて勉強になった」と感想を述べた。
江藤建設工業の山下仁一現場代理人は「新築と比べて安価で、解体せずに建物をそのまま残せる環境にやさしい工法」。下水流会長は「経済性やSDGsの観点から曳家を選んだ。自治会の活性化のためには会館の稼働率を高める必要がある。さまざまな利用を考えていきたい」と話した。
なお、曳きによる建物移動は2日、約2時間かけて行った。10月ごろの完成を目指す。