労務費ダンピングを調査

2025年03月26日更新
労務費ダンピングを調査

公共発注者向けに指針/国交省

国土交通省は、改正建設業法に基づく公共工事での労務費・賃金支払いの実効性確保策をまとめ、26日に開いた中央建設業審議会の労務費基準に関するワーキンググループ(WG)=写真=に議論のたたき台として提示した。発注者は、元請けに対して労務費の総額を明示した入札金額内訳書の提出を求めるとともに、落札候補者には「労務費ダンピング調査」(仮称)を実施する。詳細な運用はガイドラインにまとめる。
 12月に全面施行する改正建設業法では、労務費の基準を定め、これを下回るような見積もり・見積もり依頼を禁止する。WGでは、公共工事での適正な労務費による見積もり、賃金支払いを担保する方策を議論した。
 労務費確保のために早期に実施する取り組みでは、入札金額内訳書での労務費の明示を提案。現行では直接工事費のみが明示されており、労務費・材料費を明示できる新たな内訳書のひな形を作る。
 見積もり段階での材工分離を定着させ、入札・契約時の労務費を可視化する狙いがある。公共工事の受注者に対し、実態に即した労務費を積算する慣行を定着させる。
 さらに、入札の落札候補者に対して一定水準の労務費を確保できているか確認し、下回れば理由書の提出を求める「労務費ダンピング調査」を実施するとした。官積算の100%確保を目安としつつ、省人化による効率化など正当な理由にも配慮。正当な理由が認められなかった場合、公共発注者が建設Gメンに通報できるとした。対象とする工事の規模や緊急性が高く理由書の提出が困難な場合の取り扱いはさらに検討を要する。
 賃金支払いを担保するため、直轄工事でモデル的に賃金支払い状況の確認を進めるとともに、簡易に賃金の支払い状況を確認できるシステムの構築を目指す。建設工事標準請負契約約款を改正して盛り込むコミットメント条項を活用し、適正な賃金支払いを担保することも検討。一連の取り組みにより、適切に労務費・賃金を支払っている事業者が公共工事で選定される環境を整える。

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