建協と九州地整が意見交換
2025年03月19日更新強靭化中期計画 規模増へ「重要な局面」/発注標準見直し、工事の勘所も
県建設業協会(藤田護会長)と国土交通省九州地方整備局との意見交換会が18日、鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテルであった。同局から国土強靭化関係を含めた25年度当初予算の概要や発注標準見直しなどの動向を報告。国土強靭化対策は、後継となる次期5カ年(2026~30年度)の実施中期計画策定に向けて「これからが重要な局面」とし、現行を上回る事業規模に期待感を示した。
会には、建協から役員ら13人、九州地整からは企画・建政・営繕部の要職や県内の出先事務所長ら24人が出席。オブザーバーとして県土木部監理課からも4人が参加した。
早期策定を求める声が目立つ国土強靭化実施中期計画は、現行の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(21~25年度)」の後継として、6月をめどに策定される見通し。政府は資機材価格の高騰などを勘案し、「5カ年(26~30年度)で現行の15兆円を上回る規模が適切」との方針を示しており、県内業界からも期待が寄せられている。
こうした動きを受けて、同局企画部の青野正志部長は「頻発化・激甚化している自然災害の状況からみても、関係予算の確保は不可欠。6月の閣議決定に向けて、これからが非常に重要な局面となる」との見方を示した。
格付け区分に応じて発注の目安となる金額の範囲を定める発注標準の見直しは、近年の急激な物価上昇を考慮して、国が現行から14%引き上げる方針(4月1日~)を明示。業界からは「(従来のままだと)施工数量の減少が避けられない状況」との指摘が多く、県にも早期の見直しを求める声が上がっている。
このほか同局からは、品確法に基づく発注者責務のポイントを盛り込んだ「工事の適正執行のための勘所」(23年12月策定)の実効性をより高めるための施策も説明。「条件明示の充実」や「工事工程クリティカルパスの共有による契約変更」「工事監理連絡会の充実」などを柱とした運用支援に力を入れていく方針を示した。
公共工事は今後、24年度補正予算や25年度当初予算の発注が本格化してくる状況。藤田会長(藤田建設興業)は「受発注者それぞれの体制も含めて、地域で実情が異なる部分もある。円滑な施工体制の確保に向け、意思疎通を図りながら取り組んでいきたい」と話した。