西田橋ものがたり㉑

2026年09月09日号(5面に掲載)
西田橋ものがたり㉑

岩永三五郎の築造技法② 城下の表玄関に架ける/長谷場 良二 南日本技術コンサルタンツ

昭和29年の県文化財調査報告書では、西田橋の大きな特徴として4点を挙げているが、うち3点は、①橋側面が踏張りを持っていること②迫石(アーチ石) が二重であること③壁面もアーチで築造してあること、という壁石に関係したものである。

 ①の壁石の傾きは、洪水流を上に逃しその反力として下方へ抑えられて石橋の安定に寄与することから単に意匠的なものとは考えにくく、最初に架設された新上橋は橋の上幅と下幅の比が0・68と特に傾きを大きくして西田橋は0・85程度である。

 なお、橋脚の上下流側には水切石が設けてあり、西田橋のものは壁石と基礎石にホゾ入れした「象の貌」を連想させるユニークな形状をしているが、これも橋脚付近の水流の乱れの改善や橋脚先端部の洗掘防止への効果を考えたものと思われる。

 ②のアーチを二重に見せる技法は、中国等でも見られるが五石橋では西田橋から用いられた。

 構造は、アーチ石上に沿わせた控え約24㎝の壁石による飾りアーチでありその背後には控え約45㎝程度の石を沿わせていた。

 ③は三五郎独自の技法とされる扇状の組み方であり、解体時の状況からみて力学的な意味合いより意匠的配慮と考えられる。

 例えば、長崎の布積壁石や熊本で見られる乱石積壁石などとは明らかに意匠が異なっているが建設の背景がその技法、意匠を特徴付けることにもなっている。

 壁石は、控え45㎝程度で中詰め材には縦横30~50㎝控え60~70㎝程度の割肌の石を用いて壁石の裏に二重に石垣を組むような工法を採って、その内側は乱積みのような感じで壁石の段に合わせて1段ずつ積んでいた。このような積み方で土圧を軽減させ壁石のはらみ出し防止を図ったと考えられる。

 高欄は、木橋時代の擬宝珠付き高欄を踏襲してデザインしたものと思われほかの甲突川4橋と大きく違う意匠上の特徴となっている。構造は全体が空組みによる総持ちとなっており仕口には半月状に横にずれ出さないような細工を施すなど工夫が見られる。なお、擬宝珠は青銅製だったものが戦時中供出されるなどして陶器製と鋳鉄製に変わっていた。

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