西田橋ものがたり⑫
2026年07月01日号(5面に掲載)
新西田橋のこだわり③ 次の世代に残る橋へ/長谷場 良二 南日本技術コンサルタンツ
アンケート調査は委員会が最終案を選考する参考とするものであり、県政モニターや西田橋近隣居住者等から無作為に抽出した計510人に対して行ったが、特に統計学的裏付けによるものではなく、主に時間的、経済的制約から決めている。
結果は、回収率が54%(270人)と少なかったが、橋の外観や橋詰広場については概ね9割と高い評価がなされた。高欄のデザインについてはB案支持がA案支持の2倍以上であった。一方、各委員の意見はA案支持6人、B案支持3人、どちらとも言えない1人であった(委員長を除く)。
デザインの受け止め方は十人十色であり、調査に当たってのプレゼンテーション内容や委員会が多数決で選定することの良否等が議論されることとなったが、長い時間をかけて検討してきた経緯もありできれば全委員の合意を得て提言したいとして、委員会の中に新たに小委員会なるものを設けて議論を深めることになった。
アンケートでは旧西田橋の名残を留めたいという心情がその結果に表れたものと考えられる。一方、「近くに住む者としてはB案が良いと思うが、A案の斬新なデザインもすばらしく21世紀にふさわしい橋だと思う。」という意見に集約されるように新しいものを求めるという気持ちもくみ取ることができた。
さらに、旧西田橋は移設復元されることから、新西田橋はそれとの対比において現代の先端技術とデザインによる橋づくりが必要だという趣旨のものもあった。
このようなアンケート結果の評価を踏まえて、新西田橋のデザインは次の世代に残す橋として50年後、100年後の街をつくるという考えに基づいて選定することとなった。そして、構造美としての橋そのもののシンボル性、下流の天保山橋が似た和様高欄で整備され甲突川の橋梁群としてみた場合のデザインの独自性などの観点から、桜島を基調に現代的なデザインとしたA案の高欄がより適切であるという結論が出され、「新しい西田橋のデザイン選定理由書(案)」としてとりまとめ、最終の第5回委員会において成案を得た。
委員の方々は、旧西田橋についてそれぞれが感慨を持っておられ、また、委員会発足の頃はまだ旧西田橋移設の現状変更許可申請も提出されておらず各委員への外部からの圧力も強かったと聞いている。そんな状況下でも各委員には熱心に検討していただいた。特に委員会の意向と県民アンケートの結果が異なる場面においても、結論を県に預けることなく主体的に一つの結論を出されたことには感謝している。そして新聞報道が「県民アンケートとは反対」とのサブタイトルながら、内容は選定理由書に沿った客観的な記事であったのでホッとしたことを憶えている。

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