県外視察/大隅河川国道事務所、建協管内3支部

2026年05月29日号(6面に掲載)
県外視察/大隅河川国道事務所、建協管内3支部

最新技術で担い手心掴む/土木で4足歩行ロボット

人口減少、少子高齢化といった社会環境の変化が進む中で、最新技術を備えるロボットやICT施工を積極的に導入する企業が広島県にある。このほど、九州地方整備局大隅河川国道事務所(平田遼所長)、県建設業協会の管内3支部(鹿屋、曽於、大根占)は同県の現場を視察。最新技術に触れ、現場作業の効率化や若者が希望を持って働く環境への足掛かりを探った。
 広島市内に拠点を置く宮川興業は、情報通信技術を活用した先進的な工事を行っている施工者として有名で、全国各地から視察が相次いでいる。自律4足歩行ロボットを活用した3次元測量の自動化等による現場作業の効率化を実現しているだけでなく、「かっこいい」現場として、人材確保の面からも大きな成果を上げている。
 視察は、同事務所から管内支部に声を掛けて実現。大隅河川国道事務所から平田所長ほか3人、県建設業協会鹿屋支部の下小野田隆支部長ら9人、同曽於支部の堤宏久支部長含む6人、同大根占支部から3人が参加した。
 一団は4月24日、中国地方整備局広島西部砂防事務所発注の砂防堰堤外工事(広島市)に入り、最新技術を備えるロボット施工の事例やICT施工導入による省力化などの新技術の情報を共有した。
 ■誰が見ても分かりやすい現場
  現場内では、光回線と衛星回線を組み合わせた高速インターネット環境を整備。メッシュWi娃Fiにより現場内のあらゆる地点で高速通信が可能な環境となっている。これが全ての基盤。現場内のネットワークには、デジタルサイネージや4足歩行ロボット、ICTバックホウなど、60台程度の機器が接続されている。
 現場内のさまざまな地点にデジタルサイネージを配置し、気象観測情報や安全指示事項などを情報通信サーバから随時配信。リアルタイムな見える化を実現。また、情報共有の迅速化だけでなく、「誰が見ても分かりやすい現場づくり」が徹底されていた。下請業者を含めた安全通路整備や見える化への意識向上にもつながっており、ICT活用が現場全体の安全意識向上へ波及している。
 ■少人数で安全かつ高効率での施工
 高精度で安全な3次元測量の自動化として、自律4足歩行ロボットと地上型レーザースキャナ等の組み合わせを活用し、土工のみならず構造物も含めてBIM/CIMデータと重ね合わせ、出来形管理や安全管理で活用していた。定期的な計測をロボットにさせることにより、計測の自動化(無人化)が可能となり、現場作業の効率化につながっている。
 現場事務所屋上にはドローンポートが設置されており、定期的に現場内のデータ取得を実施し、作業進捗報告等に使用。飛行ルート、飛行タイミング、データ取得位置等は全てプログラミングされており、クラウドへのデータアップロードも含めてすべて自動化されている。
 マシンコントロール対応バックホウを活用した遠隔施工にも取り組んでおり、オートメーション化による生産性向上に向けた取り組みとして、現場と残土置き場(10㎞先)の複数台の無人重機を一つのコックピットから切り替えて操作する省人化施工の実証を進めていた。人口減少や担い手不足が進む中、「人が不足するから施工できない」のではなく、「少人数でも安全かつ高効率で施工できる現場をつくる」という考え方が随所に見られた。
 視察を終え、同事務所の平田所長は「管内支部の皆さんと共に先進的な現場を見学することができたのは非常に貴重な機会となった。支部の皆さんが、何か一つでも大隅地域の現場で新しいことに取り組んでみよう、という気持ちになればうれしい」と話した。今後、現場で新たなチャレンジができるよう、各支部と共に取り組む姿勢を見せた。
 【業界の声】
 ●下小野田隆氏(県建設業協会鹿屋支部長)
  未来つくる、かっこいい仕事
 文明開化の音がした気がする。4足歩行ロボットによる自動測量やドローンによる自動巡回など、先進技術を活用した現場を見学し、土木現場が大きく進化していることを実感した。これまで経験や体力に頼る部分が多かった作業も、情報技術の活用によって、安全かつ効率的に行える時代へ変わりつつある。
 こうした技術革新により、若い世代や未経験者を含め、多種多様な人材が活躍できる建設業の可能性も大きく広がっている。建設業が「未来をつくるかっこいい仕事」として若者に選ばれる業界へ、大隅地域でも現場目線で新しい取り組みに挑戦したい。
 ●斉野隼也氏(県建設業青年部会曽於支部副支部長)
  技術の多様化に気付く
 現場に入り、まず、特大のデジタルサイネージに驚かされた。特に、注目していた4足歩行ロボットは、初見では滑らかな動きに多少の不気味さを感じたところもあったが、手で押されてもジッと踏ん張る姿は不思議な親しみを覚えた。
 これまでに何度も海外メーカーとの打ち合わせの上で改良がなされ、必要な部品を自社で3Dプリンタにより製造しているとの話を聞いて、裏での地道な取り組みに深く感動した。新しい働き方や省人化を図る上で、われわれ技術者が求めていく技術の多様化に気付かされた1日だった。

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