かごしま~支局長のつぶやき~東西南北~
2026年05月22日号(2面に掲載)
都会の便利さ、島の暮らし/住みやすさとは
奄美市名瀬の市街地に暮らしていた転勤族の知人が、「ここは本当に住み心地がいいよ」と語ったことが忘れられない。職場やスーパー、学校、病院が近く、商店街や飲食店街も徒歩圏内。生活に必要な機能が凝縮された〝コンパクトさ〟がその理由だという。
奄美に赴任する前、彼は千葉県から電車で1時間半かけて東京都内に通っていた。都会の方が便利だろうと聞くと、意外な答えが返ってきた。
週末の買い出しは車で数キロ先の量販店に。病院や学校も近くはなく、飲み会に参加するにも都内の繁華街に出なければならない。そうした小さなストレスが積み重なり、日々の負担になっていると。
その知人は数年前、後ろ髪を引かれる思いで再び島外に異動した。
便利な都市生活も、「住みやすさ」という目線から別の姿が見えてくる。生活費の高さを受け入れつつも、医療や商業施設が徒歩圏にあるという安心感が上回るのだろう。
都市計画の在り方は、高度経済成長期のそれと比べ様変わりしている。必要なものにすぐ手が届き、気軽に出向ける距離感。知人が語ったその暮らしぶりは、奄美の魅力を考えるにつけ、とても示唆に富む。
奄美で暮らすことの良さとは何か。利便性か、自然か、あるいはその両方-か。
(川内博文・大島支局長)

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