人手不足時代の組織開発
2026年01月20日号(3面に掲載)
欲求レベルと貢献レベル/福留 進一(㈱現場サポート 代表取締役社長)
1年半ほど前、当社社員が建設業に携わるお客様へ「いい仕事とは何か」についてヒアリングを行った。当初、回答の主流は「社会貢献」になると予想していたが、現場に近い方々ほど「給料の高さ」や「休みの多さ」を挙げており、意外な結果に驚かされた。
この結果について、分析担当者が「マズローの欲求5段階説に照らせば合点がいく」と解説してくれ、非常に納得した。
ご存知の方も多いと思うが、マズローの欲求5段階説とは、「人間の欲求は5つの階層に分かれ、低次の欲求が満たされると、より高次の欲求を志向する」という理論だ。下から順に「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」がピラミッド型に並ぶ。
「いい仕事」の定義も、その人が今どの段階の欲求にいるかによって変わるのは自然なことだ。ちなみに「給料」や「休み」は第2段階の安全欲求(生活の安定)、「社会貢献」は第5段階の自己実現欲求に近い位置づけとなる。そう考えると、経営トップが「社会への貢献」をいくら高らかに訴えても、低次の欲求が満たされていなければ、社員の心にまでは響かないことが理解できる。
昨今、建設業界でも「給料」や「休み」といった労働環境は大きく改善されつつある。であれば、次に着手すべきは第4段階の「承認欲求」を満たす施策ではないだろうか。 次回は、この「承認欲求」を満たすための具体的なアプローチについて考えてみたい。

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