風は南から⑧

2025年04月25日号(13面に掲載)
風は南から⑧

外国人雇用で広がる建設業の未来/Kiire社会保険労務士事務所 石野 明紀葉大行

「外国人技能実習制度」について聞いたことがありますか?この制度は、海外から来た人たちが日本の会社で働きながら、仕事に必要な技術や知識を学ぶ仕組みです。最近、建設現場で「人手不足だ!」という声をよく耳にします。そんな中、外国から来た職人さんたちが活躍することで、この問題を解決できるかもしれません。今回は、元入国管理局職員としての経験を基に、複雑な仕組みをわかりやすく解説します。

■技能実習制度の仕組み

 外国人の方を受け入れる際、日本側は「監理団体」という組合等が橋渡し役になり、サポートしてくれます。「監理団体」は、海外の「送り出し機関」と連携し、やる気のある人を紹介してくれます。
受け入れの流れ
1.受け入れ企業と技能実習候補生の面接
2.送り出し機関にて技能実習候補生への研修
3.技能実習計画の認定申請
4.ビザの手続き
5.いよいよ来日!
 技能実習には「1号」「2号」「3号」というステップがあって、最長5年間働けます。ただし、基本的に転職はできません。しかし、「特定技能」というビザに切り替えれば、さらに長く働けることもあります。

■技能実習で気をつけたいポイント

 入国管理局で働いていたとき、現場の管理が甘くてトラブルになったケースも見てきました。たとえば…
・貯金の強制:技能実習生のお給料から天引きしてしまい、手取りが少なくなる。
・技能実習計画の未実施:同じ作業しかしていない、必要な講習をしない。
・未払い残業:残業代が支払われない。
 こんな問題があると、会社は処罰されて新しい技能実習生を受け入れられなくなったり、せっかく来てくれた技能実習生が帰ってしまったりするリスクがあります。

■建設業の明るい未来をつくるために

 現場で働く方の話を聞くと、多くの苦労をされていることを知る一方、改めて会社を守るために法律を守ることが大切だと感じます。

 現在では「特定技能制度」という仕組みが整い、技能実習を終えた外国人の方が引き続き日本で働ける道が広がっています。さらに、職場環境や働きやすさに満足してもらえれば、今働いている外国人の方が自国の友人や知人を紹介してくれる可能性もあります。

 多様な人材と力を合わせて現場を支えるためには、受け入れに必要な知識やルールをしっかりと理解し、準備を整えることが重要です。未来の建設業を支えるために、一歩ずつ前向きに取り組んでいきましょう。

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