組織再編制度活用編その5
《Qその5 固定資産のリストラ策》
私は建設会社のオーナーですが、事業安定を図るために兼業部門(駐車場・マンション)を育ててきました。兼業部門はそれぞれに健全経営ですが、会社全体としては総資産に占める固定資産の割合が高く、経営事項審査の「経営状況」でも不利な評点が出ています。何か良い方法はないものでしょうか?
《Aその5》
確かに合計を見ても総資産に占める固定資産の割合が90%と非常に高くなっています。そこで今回は兼業部門を会社分割することとします。その理由は①建築部門の経審のY評点をアップさせる②相続税法上の「土地保有特定会社」に該当しないようにするためです。なお会社分割のうち「分割型・人的分割」か「分社型・物的分割」かのどちらを選択するかを検討する必要があります。まず分割型・人的分割を行ったとすると元の会社(資産7・負債4・資本3)は建築会社(資産3・負債2・資本1)、駐車場会社(資産2・負債1・資本1)、マンション会社(資産2・負債1・資本1)の3社に分割され、元の会社の株主はその3社の株主となります。次に分社型・物的分割を行ったとすると会社は3社に分割されるものの、元の会社(建築会社)が新会社(駐車場会社・マンション会社)の親会社となるため、その分人的分割と比較して資産(投資)が多くなることとなります(資産5・負債2・資本3)。経審評点アップのポイントの1つとして総資産のスリム化があるので今回は分割型・人的分割を行うこととします。
[メリット] ①会社分割により健全性・収益性の向上により経審評点のアップが望める②土地保有特定会社に該当しないこととなり、株式の相続税法上の評価額が下がり事業承継等がしやすくなる③3社に分割され会社ごとの独立採算が徹底しやすくなる。
◎会社分割制度ワンポイント(1)
Q どんな会社が会社分割制度を利用できるのか?
A 有限会社と株式会社は利用することができます。ただし新設分割(連載②を参照)の場合、元の会社が有限会社で新設の法人が株式会社のケースだけは唯一利用できません。また合名会社と合資会社は利用することはできません。
組織再編制度活用編その6
《Qその6 赤字会社の再建策》
我がA社は土木・建築及びリフォームを経営しており、いずれの部門も黒字となっております。しかしながら近年設立したB社は清掃業を行っておりますが赤字続きで債務超過の状態です。できるならばB社を吸収合併をも視野において救済をしたいのですが、何か良い方法はないものでしょうか?
《Aその6》
お尋ねのB社は債務超過の状態ですので、B社はA社への吸収合併による救済はこのままではできません。A社からの資金援助などの方法も当然ありますが、今回は会社分割(分割型吸収分割)による方法を検討してみます。まずA社の黒字部門(今回はリフォーム部門)を分割してB社へ渡します。それによりB社はリフォーム部門の収益により経営の改善をし、改善の状況によっては数年後にA社と合併することも可能となります。
[A社のメリット] ①B社への資金援助の手間が不要となる②B社の清掃部門の赤字がリフォーム部門の黒字と相殺され、A社・B社合計の納税額は結果として分割以前よりも減少することとなる。なお金融機関は融資に際し以前よりA社・B社とを連結した状態で考慮しているので、分割しても融資環境に影響は少ないと考えられる。
[B社のメリット] ①黒字部門の収益で経営の安定を図ることができる。②繰越欠損金の有効活用を図ることが可能となる。
《Qその7 赤字部門からの撤退策》
私の会社は鉄骨工事と土木工事を経営しておりますが、鉄骨工事部門は債務超過まではいかないものの、ここ数年赤字続きの状態で、このままいくと鉄骨工事部門だけでなく会社全体が大変なことになりそうです。そこで土木工事部門は温存し不採算の鉄骨工事部門だけを処理する何か良い方法はないものでしょうか?
《Aその7》
不採算部門を処理する方法はまず第1ステップとして会社分割により土木工事部門を残し鉄骨工事部門は別会社へ渡すこととする。その後第2ステップとしてその別会社はM&A・株式交換・民事再生・精算などにより処理していく。なお分割は第2ステップの処理の際、本体の土木会社自体に影響が出ないようにするため、本体の土木会社の株主のみが関与する「人的分割」が適切である。
[メリット] ①不採算部門がなくなるため本体の生き残りがしやすくなる②本体から切り離すことにより不採算部門の処理の選択肢を広げることが可能となる。

