鹿児島建設新聞

永井測量設計事務所 永井 純一郎 氏

Profile

 「自らを支える原点は測量から設計、また、用地交渉など、一から十までの業務経験にあった」。第一工業大学で土木工学を専攻し、卒業後およそ10年修行。波音が聞こえそうなロケーションに事務所を構え、先鋭化した分業体制の弊害とは無縁な環境の中、「想いを一つに。ワンチームで、常に最高のものを目指す」。

 陶芸の里・日置市美山から西へ江口浜に向かう。国道270号との接続地点手前に事務所を構え23年目。公共土木施設を中心に用地測量や道路設計、また、補償調査や河川災害復旧に絡んだ業務等を展開する。職場が江口浜海浜公園近くとあって、従業員は「ワーケーション気分で業務に励める」と口を揃える。
 創業は1999(平成11)年5月、「事務所の開設当時、『こげな時期に始めっ、仕事ちゃ無かど』と言われた」。97(同9)年、山一證券が倒産し、バブル崩壊後の不況が一段と深刻化した時代だった。
 「最初は、土建屋さんに仕事をもらって、丁張(ちょうはり=木杭と貫板で基準位置や高さを示す工作物)を架けたり、草刈機を担いで除草作業にも出たりしていました」と、懐かしそうに当時を振り返る。

江口蓬莱と東シナ海

 やがて、地域の人脈も広がり会社新築や造成計画等の現場も増え、地の利を得た。公共分野は2002(同14)年、地元東市来町の道路台帳作成業務で初の指名入り。2年後には同台帳整備が初の落札案件になった。この年、畳み掛けるように吹上町の指名を受け、県の指名入りも果たした。
 第一工業大学(21年4月から第一工科大学)土木工学科を卒業後、農政分野で実績があった榎園(えその)コンサルタントに就職し、10年近く修行。測量から設計、また、用地交渉など一から十まで経験した。「経営者の立場だけでなく、技術者として今の自分を支える原点になっている」。
 職員は、役員2人とスタッフ7人の計9人、このうち2人が技術士として在籍する。経営理念には「常に最高のものを目指し、言いたいことが言える風通しの良い職場環境の確保」と掲げる。
 「サラリーマン上がりだから分かる部分がある」と、2代目3代目が率いる事務所との違いを強調。また一方、「だからこそ、サラリーマン気分を引きずっちゃいけないこともある」と自らを戒める。「親子であっても代々続く事業所には、学ぶべき部分が多い」と分析する。

事務所で3人が図面を囲む

 地の利を生かしつつ、人の和を築けたのが、青年会議所(JC)。「異業種の集まりだから喧嘩もしたけれど、まちづくりにしても何にしても、認め合うところは認め合いながら、いろんなことが勉強できた」。同業の先輩には理事長経験者も。多くの知遇を得て「人とのつながりが何よりと思った」。
 県測量設計業協会には、その後、16(同28)年に加入。同業種の会に入ることで、設計指針や報告書等の変更通達など「業務に直接つながる情報を素早く把握できるようになった。業界団体に入るメリットだ」と強調する。
 JCでは「タテでなくヨコのつながりができた。それぞれ会社に利益をもたらし、何かしら地域に還元している」。そんな「大人の学校」を卒業し、今、県測協の会員として社会インフラの技術を担う。「一番大事なことは、目的に向かって一つのチームになること」と力を込める。

社屋

 東シナ海に沈む夕陽は格別だ。ストレスですり減る神経も、波の音が癒してくれる。かつて、釣りやサーフィンにのめり込んだ。ハワイを訪ねたときは、トローリングまでやろうとした。「ちょっとマズイ」と考え、方向転換、「仕事が趣味になってしまった」。
 出身地は日置市東市来町。事務所隣接地に実家があり、現在、母親が一人住まい。家族は鹿児島市武に夏季夫人と5歳の男の子の3人暮らし。1969(昭和44)年生まれの52歳。

更新日:2021年12月

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