鹿児島建設新聞

中釜電設 中釜 康一 氏

Profile

川辺高校を経て宮崎産業経営大学経営学部卒業。24歳で帰郷、家業の中釜電設に就職、2018年(平成30)に3代目社長に就任。一級電気工事施工管理技士の資格保有。業界関係役職は環境保全協会監事。家族は妻、一男二女の5人。趣味はゴルフ、石鯛釣り。好きな言葉は「幸せを手に入れるのではない。幸せを感じることの出来る心を手に入れるんだ」。南さつま市益山出身。4人兄弟の長男。42歳。

 祖父・盛重さんが昭和30年に立ち上げた中釜電気商会がスタート。戦後の混乱期に社会インフラの一翼を担ってリヤカーで電球の販売などから始めたのが始まりというから歴史を感じる。その後、父・秀一さん(現会長)が2代目として人脈を生かし経営の基盤を整え、康一さんに引き継がれてきた。中釜家の家系図を紐解くと、先祖は加世田市小湊の漁師に辿り着く。
 康一さんは会社を継ぐまでには、様々な葛藤があり悩んだというが、秀一会長の誘いもあり、入社を決断した。とにかく現場の最前線で黙々と働いた。「実はまだ、これと言った具体的な経営理念もないんですよ。技術を売りにする企業だから資格だけは取ろうという思いが強かった」と、振り返る。「現場を覚えて早く先輩たちを追い越そうと一生懸命だった」と、ひたすら現場で汗をかいてきた。経営、営業にはノータッチだったが、組織的なポジションを考えると、3代目就任のポストは最適任だったのだろう。

完成1

 「城(会社)を守る最前線で必死になって走り続けてきた。スコップで穴を掘るには、上手に掘るより効率的に掘るにはどうすればいいか考えますよね。例えばスコップの持ち方、さし方、手さばきなど、いろいろありますね」。この時、プロとしての探求心みたいなものを身を持って学んだ。
 「会社経営を引き継ぐというより、ひたすら目の前の現場をこなすという強い思いが自分を鍛えてくれた」と康一社長。現場一筋で家族を見返ることもなく、「かなり迷惑を掛けたこともありましたね」と、反省の弁も忘れない。
 経営理念とまでは言えないが「我々にしかできないプロの技術で様々なお客様のニーズにお応えします」と、常にプロ志向で働いてきた。これからも、その意思は変わらない」ときっぱり答える。

完成2

 同社のメインは、電気工事と管工事の2本柱。その中に付随する電気設備、電気通信設備、給排水衛生設備、機械設備、空調設備、消防施設工事が主力。これらを支えているのは、スタッフのプロとしての技術・資格。「これらの技術の上に安全・安心・信用・信頼が築かれ、会社の飛躍・発展に繋がる」と、言い切る。だから、資格取得の講習会への参加、宿泊・交通費の支給、手当て支給など手厚く支援、働くための職場環境整備にも心を砕く。「社員が伸びやすい環境づくりが大切」と、人材の育成強化も忘れない。従業員27人ががっちりスクラムを組んで仕事に励む。
 これまで訪れた転機は、アメリカのリーマンショック時に県の工事入札ランクが2年間だけAからBへ落ちたことがある。元に復活するまで少々苦労したが、それ以降「常に原点に返る経営」を胸に刻み、バランスよく事業を進めることで経営を軌道に戻した。

完成3

 電設業界も社員の少子高齢化などさまざまな課題はあるが、市場の変化に惑わされることなく、的確にバランスよく事業を進めるのが基本。金額ベースで見た事業の構成比は公共6割、民間4割と安定している。
 公共事業が減少、人手不足が叫ばれる中で、同社ではここ数年業績も右肩上がりで人材の入れ替えも順調。中堅、若手までバランスよく揃い、経験者も多い。「中途採用などで仕事のできる人、経験者が入ってきた。違う血を入れることに注力してきた。非常にうまく行っている。ディスカッション、コミュニケーションができる環境も整いつつある」と、康一社長。家業を引き継ぐときに様々な葛藤を乗り越え、仕事に打ち込んできた経験が今に生かされている。現場という最前線を熟知するたたき上げの経営者である。
 目指す企業像は、従業員みんなと幸せを追求、家族づくりが個人、会社共に成長し社会インフラに貢献する会社。

更新日:2021年3月

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