鹿児島建設新聞

串木野建設工業 小原 雅史

Profile

第一工業大学電子工学科卒業。義父の植屋政孝氏が継承していた建設業を平成19年(2007年)に3代目として引き継いだ。娘婿の小原氏に白羽の矢が当たり、「自分がやるしかない」と、継承を決断した。経営を安定軌道に乗せ、19人のスタッフを引っ張る。多恵子夫人と娘3人の5人家族。趣味はたまに出掛けるゴルフ。プロ野球観戦。好きな言葉は、「楽しく明るく」。いちき串木野市出身の45歳。会社所在地は同市生福。

 電機業界の仕事に憧れ、学生時代から親戚の電機店のアルバイトをしていた。大学卒業後、複写機のメンテナンスを行う会社に就職、中部支社で勤務したが3年で帰郷。毎朝、車で移動中のラジオから流れてきた大手ゼネコンのCM「地図に残る仕事」というフレーズに感動。「よし、自分は仕事で足跡を地球に残そう」と、気持ちを奮い立たせ建設業への転換を決断した。最初は戸惑いもあったそうだが、多恵子夫人の後押しもあり、家業を継ぐことになった。同社は、過去に民事再生法の適用を受けた経緯があるが、地元では創業71年の歴史のある会社。これまでの業績もあり、名前も売れている会社。

現場写真1

 しかし、会社を継承した当時は、公共工事量が落ち込み、建設業界はちょうどドン底の時。売上高が激減した時期もあり厳しい局面の中で、経営の立て直しを迫られていた。残ったスタッフで「なんとかしなければ」と、生き残り策を模索。「信頼獲得には実績積み上げが必要」と、全員で危機感を共有することからスタート。信用の根幹となる資格取得にも着目、スタッフ育成と技術レベルの向上に力を入れた。当時は、これといった経営理念もまとまっておらず、仕事に忙殺される中で「地域に、地元に信頼される企業になろう」と、危機感をバネに「会社の存続」を第一に掲げて、全員のやる気を奮い立たせた。工事のエリアを県外、九州地区に拡大していた為社員を出張させ、小さな工事も喜んで受注し急場をしのいだこともある。難しい現場、様々な仕事に関わらせることで、社員の技術レベルもアップした。

現場写真2

 継承から10年間は市場環境も悪く、まさに〝火の車の経営〟の状態が続いたが、11年前に植屋さんの次男・孝生さんも帰郷して経営に加わるなど、老舗企業の復活へ向けて社員一丸となって取り組んだ。
 その結果、経営も少しずつ好転、今ではいちき串木野市の中堅企業に育っている。「自分の足跡を地球に残すという、大きな目標に向けての意地があったのかも」と、小原社長は、きつかった10年を振り返る。「とにかく地域・地元に頼られ、愛される企業」に向けて、老舗企業の底力を発揮、〝串建〟復活を目指してきた同社。
 ことあるごとに地域密着をスローガン掲げ、「郷土の安心・安全のため」をキャッチフレーズに清掃奉仕のボランティア、安全祈願祭、安全パトロール、高校生の合同企業説明会、地域の祭り、各種イベントの協賛と、地元を巻き込んだ活動に会社を挙げて取り組む。植屋前社長考案の会社のロゴマークも若者受けするエネルギーが感じられるKUSHIKENをおおいに活用しイメージアップをはかった。

集合写真

 同社のスタッフの平均年齢は50歳代中盤。人手不足への対応と技術の継承が最大の課題。「昔は先輩たちの技術や手順を見て覚えろ、盗め」が常識になっていたが、「今はいかにして若手に上手に教えられるか」がカギを握る。「今がシフトチェンジの時代。若い人に責任を持ってやらせれば必ず成果につながる。若手には『どうすればいいか聞きなさい。職場の先輩たちは生きた先生。わからなければ反復練習をして技術を身に着けなさい』と教える。今は現場でのコミュニケーション能力が問われている」と、力説する。
 「今はスマホの時代。仕事は楽しく簡単に。そしてデジタル化社会に対応」がキーワード。週休2日制の導入、父親参観の対応など待遇改善も待ったなし。「仕事のシフトなど、しっかりやり繰りすれば、できないことはない」と、スマホなどデジタル機器を活用して働き方改革を日々実践している。「社員に喜んで働いてもらう」環境の整備に力を入れる。このほか、ICTの積極活用と計画的な重機導入、人材確保、コスト削減策にも意欲的。
  目指す企業像は地域住民に頼られ、愛される企業。「そのためには、工事完成などを地域住民と喜びあい、感動を共有し、一緒に満足感、達成感を味わえるチャンスを大切にしたい」。常に前向きに物事を捉える姿勢は、社員にも周囲の人たちにも評判だ。

更新日:2020年11月

お知らせ

    CPDS・CPD認定講習会

    新聞購読お申し込み メルマガお申し込み

    KISS-WEB会員情報を無料で
    お試しいただけます

    無料体験申込

    デモはこちらから↓

    KISS-WEB会員情報デモ版

    PR情報

    アンケート調査