鹿児島建設新聞

今村電気 今村 公洋

Profile

鹿児島商工高校(現樟南高校)電気科卒業。南電工に就職。退職後、伯父が経営していた今村電気工事を引き継ぐ形で2009年(平成21年)に2代目社長に就任した。趣味はバイクのツーリング、SUPボード。霧島市下井出身。56歳。

 同社は伯父の今村五男氏によって1970年(昭和45年)に今村電気工事として設立された。五男氏は「これまでもこれからも電気工事業は、社会資本整備上絶対欠かせない存在になる。ニーズの高まりとともに、必要とされる業種」と、大学卒業後に福岡の電気工事会社で修業、帰郷後に会社を立ち上げた。その伯父の思いを受け止めて「電気・設備工事の施工を通じて、社会・業界のために役立ちたい」と、引き継いだ。
 経営理念は、「仕事を通して皆様のお役に立てる企業であり続けたい。そのためには電気工事業を柱に総合設備工事業としてより便利で快適な暮らしに貢献できるコンビニ的な役割を担い、環境にやさしい質の高いサービスを提供したい」と、これからの時代に合った戦略を見据え、ニーズに合った会社経営を社員とともに考え、日々実践している。

現場写真

 社長就任時に考えたことは、まず「社員とともに歩む企業。そして幸せの共有」。経営方針に「従業員の幸せとお客様、社会との調和・発展・貢献」を掲げる。
 「会社は人で構成されている。人がいないと成り立たないし、存在できない。そのためには、会社に必要な人材を育て会社への思いをお互いに共有することが大切。人が育てば仕事はついてくる。日ごろから社員に『ありがとう』と、感謝の思いを伝える。感謝の思いはあっても意外と言わない経営者が多いのでは。言葉で示すことが大切」と、その先頭に立って実践している。
 会社を引き継いだ当時、市場は冷え込んでおり、社員は3人。仕事も少なく、いわば一番の底で低迷期に陥っていた。募集をかけてもなかなか人が集まらない時期。それでも「人が困っている時こそどげんか(なんとか)して助けてやらんないかん」と、言う思いが強かった公洋社長は、「仕事を通じて人のためお客様のために役立たたなければ…」と、経営理念を何回も繰り返す中で必死に踏ん張った。「とにかく仕事を増やして人を増やす」の一念で外回りの営業に力を入れた。

太陽光発電

 鹿児島県は高校を卒業した若者が県外企業に就職先を求めて出ていく人材流出県。最近は大手、中堅企業、ビル管理や保安協会などに流れる傾向が顕著。会社の魅力付けをして、若者のニーズに合った会社にするためには、「若者の気持ちを知ることから始めるのが先決」と、フェイスブックやツイッターなどスマホを活用しての情報発信に着目。社内に編集委員会を設けて「わが社はこんな会社です。こんな仲間がいます。こんな仕事をしています。一緒に働いてみませんか!」—。若者の気持ちになって呼びかけた。すると、会社の雰囲気が変わった。スマホで問い合わせや連絡が入るようになった。「流行に乗るとは、こういうことか」。情報発信の重要性を認識、社内で情報を共有、一方的に押し付けるのではなく、楽しさ、働く魅力をアピールすることで、ハローワーク、学校などを介して連絡が入るようになった。
霧島市には、多くの県外企業が存在する。「いろんな異業種の人とかかわりを持つことで人間的にも考え方の幅が広がるし、人脈も築ける」と、頻繁に顔を出すようにして、交流を深めている。

全体写真

 社員の技術向上では資格取得に積極的に取り組み、資格取得者には毎月免許手当を支給。社員のモチベーションを上げている。最近の電気工事業は、デジタル化によって通信工事関連の資格取得が求められ、より専門化が進み、複雑化。一方では年々、多様化も進む。そんな中で、昨年11月には、社長自ら電気通信施工管理技士の試験に初挑戦、見事合格を果たした。社長の頑張りに刺激を受けて社員の資格取得者も順調に増えている。ISOについては、品質、環境、安全衛生部門を取得、安全で快適な暮らしの実現に貢献できる会社をアピールする。3年前には、霧島市電設会(17社で構成)の会長に就任して地元業界の長としても活躍している。電気工事士法定講習の講師も務めるなど、電気工事士技能試験の判定委員もしている。
 これまでの一番の転機は、社長交代期。「底の底できつかったがいい経験になった。危機をスタッフ全員で乗り越えた」と振り返る。思い出に残っている工事現場は姶良地区の保健所。図面作製から現場代理人まですべて一人でやり遂げた。「当時はまだテレビはブラウン管時代で、デジカメの初期の時代。夜中まで睡眠時間を削り頑張った。やり遂げたという思いが強い」と、振り返る。目指す企業像は若い人材が集まり常に活気のある会社。熱いリーダーの元に若い力が増えている。人気も評価も高い。

更新日:2020年10月

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