鹿児島建設新聞

岩野建設 岩野 仁保

Profile

指宿高等学校、九州共立大学工学部土木工学科卒。祖父、父親の背中を見て家業を継ぐことを決意。大学時代はバンドに夢中になったこともあり、「少々横道にそれて卒業まで6年かかった」と笑う。帰郷後は、家業の経営に専念。2016年(平成28年)に3代目社長に就任。現在5年目を迎える。家族は妻・保恵さんと子ども3人(二男一女)の5人。指宿市出身の45歳。

 同社は戦後まもない1952年(昭和27年)に熊本出身の祖父・友保さんが岩野組として創業。異郷の地でのスタートだった。一時期、地元の工務店で働き、建築を目指したこともあったが、土木事業に軸足を移した。1977年(昭和52年)に株式会社岩野建設に組織変更し、その後、父・仁志さんが引継ぎ経営基盤を安定させた。2012年には創立60周年を迎えた。「経営者、社員が双方、幸せな人生を送るためには価値観の共有が必要」との経営理念のもと、「社長はルール、目標を定めて会社を成長させる責任、社員はルールに従い目標に向かって実行する責任がある」と、経営指針書を作成。社員全員が目標を掲げて実践している。
 2002年(平成14年)に関連会社として産業廃棄物の中間処理施設㈱指宿リサイクルセンターを設立したのが同社の大きな転機。これを機に民間解体工事の売り上げも伸びて大きく飛躍するきっかけとなった。
バブル期から続いたハコモノ行政が終わり、2000年代に入ると建設業者には厳しい時代を迎えた。「2009年の県の格付けで点数が1点足らずに土木が〇BからBになり受注額が大きく減少した。そこからAクラスになりたいと目標を掲げた。経審結果の向上はもとより、Aクラスになるにはどれだけの工事を受注すればよいか。工事点数は何点取ればよいか。目標に向けて逆算して計画する癖が付いた。2017年に念願のAクラスになることができた。結果8年掛かりましたが…」と、振り返る。祖父、父が二代にわたって築いてきた岩野建設。それを引き継ぐ三代目の責任は重い。以前は「一人でなんとかしよう」という思いが強かった。そこには「自分一人でなんでもできる」という傲慢さがあった。社員22人を率いる経営トップに座って見ると「一人では何もできない」と、人の大切さを思い知らされた。

作業現場1

 これは、将来ビジョンとして「人が集まる地域ナンバー1企業」を掲げている要因にもなっている。同社ではリーダーが目指す人財像、社員が目指す人財像に分けて、具体的な目標を掲げている。理念や目標を全員が理解し、浸透させる中で「チーム岩野」として一人一人が責任と熱意、向上心を持って取り組み、チャレンジする。生き生きとして働いてくれれば社員満足度ナンバー1の企業になれる。具体的には入札資格審査では、土木、舗装事業のAクラス維持、スピード感を持っての人材育成、働き方改革など生産性向上を追求する。

作業現場2

 同社は「自社資源と技術の活用」を経営理念の柱に据える。それが住みよい街づくりの基本につながるからだ。それは「街をつくる(かたちづくる)」、「街を守る(防災)、「解体(街を生かす)」が基本になっている。「社員が幸せでなければ会社は伸びない。コミュニケーション力を高め、働きやすい環境を整えたい」と取り組みを強化する。自分を高めるために昨年まで4年間は県建設業青年部副会長も経験、10年前には鹿児島県中小企業家同友会に入会するなど自分磨きにも力を入れた。
コロナ禍の影響もあり「来年度以降、建設予算の減少が懸念される。今年は締めていかないと…。その意味では今年は新時代への準備の年」と位置付ける。そんな中で現場別日次決算の実施によるコスト削減への取り組み、決算書の読み方など分析力の向上にも力を入れる。

社員等

 今期の経営指針書では、売上高5億円、現場利益率の更なる向上、経常利益率5%以上の実現と、数値目標を明確に掲げる。コストダウンの極意としてトヨタ生産方式の七つのムダ、作りすぎのムダ、手持ちのムダ、運搬のムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良を作るムダを自社の仕事に置き換えて周知させるなどユニークな対策を打ち出す。
社員の資格取得にも積極的で一資格取得につき手当を支給するなど力を入れる。加速する人材不足対応では、少人数でできる工法、だれでも簡単にできる経験を必要としない技術の採用など秘策を打ち出している。
今熱中しているのはボクシング。ジムに通っており、20kgの減量に成功したそうだ。「計量クラスでいうとライトヘビー級かな?」。三代目は、日焼けした顔をほころばせる。

更新日:2020年8月

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