鹿児島建設新聞

新栄 川口 蔵人

Profile

宮崎産業経営大学経営学科卒。ユアサ商事に就職、3年間営業の基本を学んだ後、家業を継ぐため帰郷。好きな言葉は「感謝とご縁」。趣味はキャンプ、バイクのツーリング、ゴルフなど。家族は妻・加奈子さん、二男一女の5人。昨年5月から現職。鹿児島市出身の47歳。モットーは「どうせやるなら楽しく」。心に響く言葉である。

 同社は父・勇氏(現会長)が昭和46年、石油卸業の新栄商事として創業、来年には節目の50年を迎える。地域密着経営と人脈に支えられ、現在の安定基盤が築かれた。4代目社長の蔵人氏は「どうせやるなら仕事を楽しもう、そして笑顔で」を企業戦略に据える。「会社の基盤・財産は人。だから常に人を中心に据え、目標、夢に向かって一緒にチャレンジする会社」が親子2代に渡る経営理念。昨年スタートした中・長期ビジョンでは、360度の広い視野でチャレンジ&イノベーションを掲げる。
 創業当時から「ふるさとに優しく、子どもたちに誇れる仕事を」がモットー。 平成元年に一般建設業の認可を受け、同10年に現在の㈱新栄に商号を変更、その翌年には特定建設業の認可を受けた。これまで物売りをベースとしてきた販売部門に工事部門を加え、同20年には西日本シティ銀行から保障付き私募債の受託を受けた。これを機にISО9001、14001(品質・環境)、ОHSAS18001(労働安全)の認証を取得、対外的にも評価を受けるようになった。この間、2代目社長に県庁ОBの鍛冶屋圭三郎氏、3代目に安楽正録氏を招へい、技術面の強化を図ってきた。
 蔵人氏が4代目社長として就任する際、創業者の勇会長からは「働く人を見て学べ」と言われた。自ら体験し、業績を積み上げてきた苦労人ゆえの重みのある言葉だった。
同社の転機は、特定建設業の認可を受け、商社部門と専門工事部門の社内業務統合を図った時で、販売力強化と同時に提案力を試された。販売一辺倒から工事部門への参入でスタッフが全社一丸となって燃えた。

作業現場1

 経済のサイクルを語るときに、よく使われる「ひと・もの・かね」の定義。同社では新規社員サポートの一環で、「ひと」については、他社よりも長い原則2年間の教育を実践しており、職歴に合わせた各研修会への参加、資格取得サポート、社内交流(キャッチミーティング、わくわく体験ツアー=宿泊付き共同協力体験、キャンプ会議)を強化している。人材を育てるために疑問や悩み事が話しやすい環境づくりに力を入れており、社内交流、コミュニケーションを重視する戦略。ここで新入社員の心が一つになる。これらにかかる費用はすべて会社負担としている。「もの」については、資材販売、建設施工までお客様への提案、トータルサポートを通じて地域№1の商品取り扱いの説明。これは、納入した商品、施工した完成品を通じてお客様の心に残る丁寧さを売り物にしている。「かね」については、全社員の年間個人目標の設定、仕事における人材評価・給与面の対価の充実、公共団体による工事表彰への社内表彰、資格取得者への社内表彰など、きめ細かく規定して、社員一人ひとりのやる気とやり甲斐が持てる環境づくりを引き出している。

作業現場2

 「仕事を楽しむ。どうせやるならチャレンジする。そしてみんなで問題、課題を解決する。世の中はきついこと、辛いことが多い。どうせやるなら少しでも楽しい方へ。同じ時間にやるなら楽しく」が、同社の仕事訓だ。このことが周りの人を笑顔にして、自分も笑顔になれる。
この仕事訓をベースに同社は創業以来、40年間黒字をキープしている。直近では2017年度26億円、2018年度32億円、2019年度35億円と順調に実績を積み上げている。売り上げ構成比は商社部門約70%、建設業部門約30%。建設業は、法面保護、交通安全施設設置工事など、販売部門は土木・建築資材、住宅関連機器などがメイン。同社のキャッチフレーズは「一人一人が主人公」。揺るぎない強い絆と連帯感も醸成されている。

会社ロゴ

 「われわれは物をつくらない。つくる人を作っています。そしてお客様を作り、価値を作り、仲間を作っています。関係するいろいろな人に感謝し、そしてご縁を大事にします」。思いを込めて語る言葉には4代目経営者としての覚悟が滲む。社員の平均年齢は44歳。
 2019年からの5年間で策定した中長期ビジョンのスローガンは「21世紀を見つめ360度。広角で、ものを見つめ、チャレンジ&イノベーション」。その先に見据えるのは2023年の年商約50億円。淡々と語るその姿にはまったく気負いは感じられず、自信に満ちていた。

更新日:2020年7月

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