鹿児島建設新聞

三輝開発工業 横山 正一

Profile

県立鹿児島南高校、鹿児島測量専門学校卒。測量設計会社に就職、基本を学び1985年に退社、叔父が経営する建設会社で設計管理・営業の仕事に従事建設会社の経営を学んだ。1998年三輝開発工業㈱代表取締役に就任、測量士、一級土木施工管理技士の資格保有。業界関係の役職は、県建設業協会谷山支部長、南鹿児島建設組合理事長、現在、鹿児島市に妻と2人暮らし。子供は一男一女。趣味は馬の所有育成だったが42歳で卒業した。好きな言葉は西郷隆盛の敬天愛人。鹿児島市出身の60歳。

 3人兄妹の長男。元々実家は建築の請け負い業をしていた。父親は職人気質。「反感することも多かった」と苦笑いする。
高校時代は野球部に在籍、長距離が速かったこともあり、専修大学の駅伝部に推薦入学が内定していたが、紆余曲折あり結局、測量専門学校に進んだ。卒業後は測量設計の専門会社に就職。鹿児島市内でも各地で団地造成が活発な頃であり、航空写真を基に測量機器を担いで山や急傾斜のがけ地を登り、トランシット座標や平板測量を駆使しながら現場を学んだ。

 「今はパソコンが普及、ドローンの登場でスピーディにできる環境であるが、当時は、対数表を片手に電卓を操作する時代。設計図を仕上げるのに3、4ヵ月を要していた。 体力的にはきつい仕事だったが、充実感があり面白かった。まさに汗とともに技術を身に着けさせてもらった。」経験年数も積んで測量士の資格も取得したところで、叔父が経営する土木建設会社の設計管理の仕事をすることになる。30歳前後には専務取締役の肩書をもらい、現場と銀行などを往来する多忙な日々を送った。一日に何回も現場の作業服から背広に着替えて対応。現場は勿論、資金繰りまで〝経営のいろは〟を叩き込まれた。

現場1

 当時、叔父が経営する会社は、県内でもAクラス。何十台というトレーラーやユンボ大型ダンプなど大型重機を保有、100人を超える社員を抱え、作業員を現場までマイクロバスで送迎するなど活気があった。「叔父の会社では、鍛えられる一方で可愛がられた。一番苦労もしたが勉強になった」と振り返る。経営の中枢部に席を置き、幹部として会社経営を切り盛りするようになった。しかし、バブル崩壊で不動産・民間宅地造成を主力で売り上げていたためその煽りもあってすべてを清算し廃業した。
その後、いつかは独立しようと思っていたため設計会社を立ち上げる。経営が軌道に乗りかけていた矢先、幼いころから相撲を取ったり遊んだりしていた同級生から「会社を買い取って欲しい」と相談を受けた。叔父の会社での資金繰り等の経験もあり、1998 年に三輝開発工業(株)として再スタートを切った。37歳、大きな転換点だった。株も権利も買い取り、中身を精査、最初は2、3人でスタート。会社としてはC、Dクラスだったが、公共工事の実績もあり、いち早く指名に加わることもできた。

 業種はメインの土木、舗装に解体、上下水道を加え、特定建設業としての再出発。 会社の経営理念は「コツコツ前向きに努力し、輝ける企業に」。目指す企業像は「本当に確実な仕事ができる集団」。「決して規模を大きくしようとは思わない。中堅企業として業界を引っ張っていければ…」との思いが強い。いち早くISOの認証取得にも着手、現場、品質、労働安全を取得した。「中・長期的な技術者集団の育成」を優先させる。高校時代担任だった恩師は、「横山君が担当する現場だったら協力するよ」と、山や土地などの売却にも協力的で、今でも交流が続いており、エンジニアとして働く教え子である横山氏を自慢。強い師弟愛でつながっている。地域や今までお世話になった方々に恩返しをし、これから生きていく若者が過ごしやすい環境を作っていきたい。

 業界の課題は担い手不足への対応。職員の高齢化が進み、若い人が少ない。「あらゆる分野で機械化が進み、パソコンの本格普及によって本物の技術力が育っていない。昔は測量もスチールテープ実測でしており、設計図を完成させるのに実測だけで1、2ヵ月、設計図まで3、4ヵ月かかっていた。今はパソコンで瞬時にできるようになった。最先端の現場の対応・理解力が問われ、本当にこれでいいのか」と疑問を呈する。技術や内容を理解できるための環境や人材育成をしていかなければならない。
高架橋2
 最近施工した現場で思い出に残っている事業は、鹿児島市発注のJR谷山駅から慈眼寺駅間の鉄道高架下の活用事業。高架下と聞くと暗いイメージしか浮かばなかったが、公園機能を兼ねた遊歩道・自転車専用道路が通り、24時間街灯が点いて、ランニングコースができ、安心・安全な空間という明るいイメージに生まれ変わった。工事完成後には、近隣住民からもたいへん高い評価をうけた。「これからも住民に喜ばれ、感謝される仕事をしたい」と、苦労人は目を輝かせる。 「多くの人に支えられ導いてもらった人生」と、振り返った。

更新日:2020年3月

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