鹿児島建設新聞

大亜測量設計 西川 肇

Profile

鹿屋高校から千葉商科大商経学科卒業。印刷会社の営業、九建コンクリート(現インフラテック)勤務、佐多測量設計常務、池田コンサルタントを経て、平成19年4月から現職。鹿児島県測量設計業協会監事などを務める。RCCM(道路・鋼構造およびコンクリート)の資格所有。妻と二男一女の5人家族。孫は5人。趣味は映画鑑賞、ゴルフ、居酒屋巡り。好きな言葉は「人は心」。鹿児島市出身の68歳。

 同社の前身は、大正測量設計鹿児島支店。昭和53年に県庁ОBの川上郁夫氏が経営を引き継ぐ形で創業、子息の川上重典氏が継承、3代目社長に西川氏が就任した。
社長就任の頃、鹿児島県内では中堅のコンサルが相次いで創業するなど〝戦国時代〟の様相を見せていた。社員数は当初15、16人でスタート。
ちょうど社長交代の変わり目。相談を受けて、最初は戸惑いもあったが「安心して任せられるのは君しかいない。是非頼む」と、社長就任を懇願され、2ヵ月考えて返事をした。相当な決断が必要だった。

 コンサル業界は、仕事のできる技術士などの資格取得者が何人いるか、これまでの会社の実績等を踏まえてランク付けされる。まさにプロフェッショナル集団の競争社会。
社長就任を引き受けた段階から「レベルの高い優秀な資格者を何人抱えているかで勝負が決まる。これまでもこれからも技術者の育成がカギを握る」と、これまで以上に人材育成を強化している。「これまで頑張ってこれたのだから自力はある。絶対に乗り越えられる、大きくなれる、という確信はあった。ナンバーワンよりオンリーワンの技術を誇れる会社へ」をモットーに掲げ、自分の最大の課題と位置付けることで社員の奮起を促し、磨きをかけてきた。

橋梁点検作業

 社員にハッパをかける以上は、「自らも挑戦が必要」と、RCCM(道路と鋼構造)の試験にチャレンジ、見事合格を果たした。
会社としても目いっぱいの支援を打ち出し、使命感と責任感を持たせて試験会場に送り出した。1人当たり最低でも複数の資格は必要と、資格取得へ向けて「受けたら合格するまでやり遂げるという信念を持たせてチャレンジの精神で臨ませた。「西川社長が頑張っているのだから、自分たちも頑張ろう」という横の連携プレーが培われた。技術者の資格取得者は延べ158人。
平成21年には、次男の晃央氏が技術士(総合技術監理、建設・道路、建設環境、農業土木)の資格を取得、経営を支える専務取締役に就任。その第一歩を踏み出した。「この世界であれば、城を持たせたい」との親心もあって、基盤固めの意味もあり、新体制をスタートさせるなど、決断は早い。

会社イメージ
 今は工事の指名も減少傾向で「一番不安定で不透明な時代。コンサル業界も自然と淘汰されて行く中で、人材を一人前に育てるためには最低でも10年はかかる。工業系の学科がある高校が減少、測量専門学校も福岡、熊本だけの二校と厳しい状況が続く。人材はどうしても大手企業、県外企業へ向く。魅力づけをどうしていくのかも課題」と現状を直視する。その一方でコンサルの魅力づけについても強調する。「自分たちが担って仕上げていくという責任、やり遂げるという技術者の自覚が大事。そのためには、業界あげてまとまって情報発信することも大事になってくる」と、語る。

 県外の大手と比較すると、鹿児島の企業は個人商店のレベル。ただ、こんな中で、中堅のUターン者など戻ってくるケースが増えている。「ナンバーワンにならなくてもいい。オンリーワンになりなさい。この仕事は、どれだけの提案ができるかということが大切。技術力+提案力が地場のコンサル業界で今後仕事をして生き延びていくためには必要。このことがあなた方の仕事の枠を広げて行くための強みになる。仕事としては面白い。地場の中堅企業という魅力づけをすることで、生き延びるためのすべを培ってきた。建設業とタイアップ、新機軸の事業を生み出し、仕事を切らさない努力をすることが、社長としての責務」と、社員を激励する。
南九州市摩崖3次元測量
 こうした状況の中、三次元レーザースキャナー、ドローンなど新技術がすごいスピードで普及、幅がひろがりつつある。若者にとっては、魅力づけのチャンスかもしれない。時代の変化を取り込みながら、スピードにも的確に対応することが求められる。
目指す企業像は、一にも二にも信頼される会社。成果品を確実に仕上げて品質管理面、顧客ニーズ面から理解が得られるようにすること。仕事をする上では、人のつながりが何よりも優先されなければならない。風評被害で企業がつぶれていく時代。「難しい仕事だが、技能をより活用して活かせる頭脳集団。地道にコツコツ。社会に貢献し、受け入れられる企業として頑張りたい」。常に仕事に真摯に向き合い、熱く語る姿は頼もしい。

更新日:2020年1月

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