鹿児島建設新聞

福地建設 福地茂穂

Profile

加治木高校—九州工業大学開発土木工学科、同大学院修士課程卒業。鹿児島県庁土木部に入り、鹿児島土木事務所、大島支庁、道路建設課、大根占土木事務所と11年半の役所勤務を経て退職。平成11年4月に福地建設㈱に入社。大学院時代はマテリアル研究に魅力を感じ、生コンなどを専門的に極めた学究肌。趣味は、家族とたまに出かけるボウリング。飄々とした風貌は、創業者の祖父・直次郎氏の雰囲気を漂わせる。和江夫人と三男二女の7人家族。霧島市牧園出身の56歳。

霧島市隼人から霧島温泉街に向かう国道223号沿いにホテルを思わせる白と薄緑色を基調とした福地建設の社屋が現れる。確かな品質と技術で地域を支え、製材業を軸に養豚、砕石、生コン、ガソリンスタンド、団地造成、温泉、太陽光発電、水力発電など常に時代のニーズに対応しながら多様な事業を展開する福地グループの拠点である。

同社は祖父の直次郎氏が昭和17年(1942年)に牧園町寺原地区で創業した製材業が始まり。鹿児島郡伊敷村出身の直次郎氏は8歳の時に鹿児島市の墓石店に石工職人として見習い奉公、腕を磨いた。その後、妻アイの出身地・牧園町寺原地区に居を移し、九州電力妙見発電所など多くの石造物を手掛けた。酒は飲まず弁当のおかずに黒砂糖を持参するほどの甘党。朝から好物の豚肉を食べることもあったという直次郎氏は11人の子宝にも恵まれた。戦後の木材需要を見通し、製材業へ転換、建築業、採石業、生コン業へと業容を拡大、現在の福地グループの基礎を築いた。

養豚の糞尿を利用してエネルギーを取り出す今で言うバイオマス発電のハシリに挑戦したり、庭に設置できる簡易ガソリンタンクを作るなど先見性に富み、物事を達観し、思いのままに突き進む直次郎氏のことを周囲の人たちはいつしか〝なったごっの直次郎〟と呼ぶようになり、ぼっけもんの気概あふれる尊敬される経営者になっていた。

時代の潮流に乗った経営と、多様化する時代のニーズに即した二刀流の事業として見事に開花。職人肌の精神と先見的な気性は次男の晃氏に引き継がれ、本格的な総合建設業として発展、大型工事を次々に受注、地元のインフラ整備に貢献する中堅企業として地歩を築いた。その事業は、平成11年から県土木部出身で晃の長男・茂穂氏にバトンタッチされ、堅実経営によって安定した発展を続けている。

除雪作業

小さいころ製材所の中でかくれんぼをしたりして育った茂穂は、幼稚園時代の送迎で直次郎じいさんの運転するオートバイの後ろに乗って「怖い思い」をしたこともあり、今では良き思い出。「直次郎じいさんの〝なったごっ〟の精神には、突き進むチャレンジ精神と、面倒見をしっかりやるアフターフォローの意味も含まれている」と、捉える。2年前の創業75周年記念式典で「創業の精神を受け継ぎ、次の100周年、200周年へ向けて社員一丸となって突き進みたい」と決意を語っている。

祖父・直次郎氏が残した遺志は順調に引き継がれ花開いた。三代目が導き出した答えは先代の思いを大切にしながらの攻めの堅実経営。平成29年には再エネ事業部を開設するなど先を見通した事業にも意欲的。過疎化や設備投資などで閉鎖が相次ぐGS事業にも力を入れる。

社長に就任して数年経って社員が一度に4、5人辞めるという苦い経験もあり、「自分の中ではこれが一つの転機となり、社員と気持ちを共有して一緒に前に進むことの大切さを教えられた」と、振り返る。親子三代、大切にしてきた思いは、企業は人なりの精神。だから、これからも『人を大切にする経営』に徹する。高齢化対応、人材確保・育成、働き方改革など見据える先には、大きな課題が横たわる。「長期的視野に立って的確に変化を読みながら、そしてスピーディーに。難しい課題だが、一つずつ着実に解決しながら進めたい」と三代目。

鶴田ダム再開発事業現場

思い出に残る自慢の現場は、このほど完成した鶴田ダム再開発事業。担当した壁面工事は命綱を付けての高所作業。コンクリートを均等な厚さに打つ品質の高い熟練の技が求められる現場。「これは外に向かって誇っていい仕事。担当社員からは〝達成感があった〟と聞いている。これこそ業界に誇れる仕事、やり甲斐のある仕事」。経緯を語る顔は自信にあふれる。

働き方改革も待ったなしの状況。4月から2人の外国人労働者を技能実習生として受け入れる予定。試験導入だが、まず人材の性格、気質の見極めも大事。業界全体の問題としてどう受け止め、対処できるのか、戦力としてどう生かすのか、前向きな姿勢を見せる。「企業は人なり」の経営モットーを掲げる三代目は、選択と集中で未来を創造する企業へ邁進する。

社員

更新日:2019年3月

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