鹿児島建設新聞

ヤマグチ 山口克典氏

Profile

加治木高校、日大理工学部土木工学科卒業。鹿児島県土地改良事業連合会に就職、母親の春子さんが急死したのを機に昭和58年に家業の山口工務店に入社、副社長を経て平成10年から現職。平成5年現在地に社屋を新築移転。翌年6月にヤマグチ㈱に商号を変更した。県建設業協会副会長、同栗野支部長。県森林土木協会理事。霧島商工会理事。1級土木施工管理技士、2級建築施工管理技士。妻・明美さんと2人暮らし。趣味は映画鑑賞。好きな言葉は、普段からの心構え次第で物事がうまく行くという意味の「高下在心」。霧島市出身の61歳。

和の経営で地域のために―。柔和な笑顔と穏やかな語り口だが、土木マンとしての情熱とエネルギーにあふれる。目指すのは「地域に愛され、必要とされる企業」。親子2代に渡って「和」の経営理念を継承、建設業で地域の暮らしを支えるという情熱がみなぎっている。「どんな苦難にもチャレンジ、社員一丸となって最後までやり抜き、カタチにする。そして完成の喜びを地域の人と分かち合う」というヤマグチのスピリット。

同社は、終戦直後、一面焼野原の東京を目にし、復興の思いが強くなり、「なんとかしなければ」と帰郷した父親の篤典さんと、同じ時期に満州から引き揚げてきた大叔父の豊秋さんが一緒になって1950(昭和25)年9月山口工務所を創業した。篤典さんは、元々学校の教師になるのが夢で、機械科卒業のエンジニア。見よう見まねで模索しながらのスタートだった。

創業当初は物不足の時代背景もあって建設業も厳しい時期。重機等の普及もなかなか進まず、もっぱら人力が頼りの時代。工事の大小に限らず人手をかけ、丁寧に完成させコツコツ実績を積み上げてきた。人材(技術者)を育て上げるのには現場経験が必要で時間もかかった。こうした苦難を乗り越える中で徐々に企業の信頼度も高まり受注を拡大。山口工務店に組織変更、一般建設業の許可を取り公共事業にも本格参入、地場企業としての経営基盤を築いた。

土木現場

そんな厳しい時代を経験してきた母の春子さんは、克典さんの将来について「あなたは勤め人なってほしい」と、切望。克典さんは大学卒業後、土改連に就職、ひとまず母親を安心させた。「誰よりも自営業の厳しさを肌で感じ、息子の苦労を思いやってのこと」と、克典さんは当時の母の気持ちを推し量る。

しかし、その春子さんは57歳の若さで亡くなった。「折角、これまで育ててきた会社。さらに持続・発展させたい」と正義感も手伝って、家業継承を決断する。エンジニア出身だった篤典さんの丁寧で正確な仕事ぶりもあって会社経営は安定軌道に乗り、2代目としての重圧を感じながらも様々な課題を解決しながら陣頭指揮をとる。

一番悲しい思いをしたのは、協力会社の社員を亡くした事故。「人の命は重い。遺族の悲しみを思うとやり切れない。作業では決して手を抜いてはいけない」。事故後、毎日のように安全を念じ、安全パトロールの強化は勿論、外部からの的確な目で厳しくチェックする診断を義務付けたほか、事前の施工検討会など会社ぐるみで安全の徹底を図る。「なくした命は戻らない。人は会社が常々言っている貴重な人財。安全対策には決してやり過ぎるということはない」。日々、そう言って気を引き締める。

現場打合せ、人間尊重

克典社長には、思い出に残る出来事がある。平成5年8・6水害の年。年を同じくして6月に牧園町(現霧島市)で発生した集中豪雨で、国道223号の丸尾地区が陥没し、通行止めになった。社員を総動員して約3週間かけて不眠不休の突貫工事で無事工期内に開通にこぎつけた。深夜にも関わらず地域住民からおにぎり、みそ汁などの差し入れ等もあり、激励の言葉をもらいながら懸命に土砂の搬入から舗装まで地域住民と心を一つにしての工事。開通したのは午前4時。通行止めのバリケードが取り除かれた時は、使命感と達成感に涙がこみ上げ、止まらなかった。現場では「ありがとう」「ご苦労様」の声が交錯、あちこちでお互い握手を交わす姿が…。「土木マンの威信にかけ総力戦で挑んだ災害復旧工事だった。思い出すと今でも涙がこみ上げる。あの時の誇りと感動は忘れられない」と、克典社長は振り返る。

同社の経営理念は、創業者の篤典氏が掲げた「和を以て貴しとなす」が原点となっている「和」の精神。これまで、多くの工事に携わり、どんな困難も乗り越えやり遂げてこれたのは、その精神に共感し集まってきた人、研鑽を積んできた技術、そして地域の為に…という使命感と熱い思いが蓄積され、財産となっているからである。2代目に引き継がれた理念と財産を幹にして、これからもまちをつくる、未来をつくる企業として、地域で輝き続ける。

更新日:2019年1月

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