Profile
鹿児島実業高校普通科‐日本大学生産工学部土木工学科卒業後、コーアツ工業に就職、橋梁の建設現場で現場監理者などを8年間務めたあと、家業を継ぐためUターン。現場、営業、副社長などを経て今年の7月から社長に就任。土木施工会社として鹿児島県№1にこだわりたい—と、スタッフ50数人を引っ張る。家族は夫人と1歳7ヵ月の長男と3人暮らし。資格は一級土木施工管理技士、プレストコンクリート技士など所有。好きな言葉は、心技体。趣味はゴルフ。会社所在地は、鹿児島市伊敷6−13−1。同市出身の39歳。
防災・減災を見据えて宅地造成、道路や橋梁など県土の礎を築き、安心・安全なインフラを支える土木施工会社を自負する。快適な環境づくりに貢献する企業をモットーにしている。多くのダンプ、バックホウなどの重機類を活用、機動力を発揮する企業を経営の中心に据えている。仕事では、常に現場重視で、次の工程、コスト意識、効率のよい作業など全員で知恵を出し合い、創造する企業へ飛躍を目指す。二代目に課せられているのは、安定経営路線と継続、さらに信頼される地域貢献企業だ。
同社は、父親の安則さん(現会長、68歳)が昭和50年に創業した。4人兄弟の末っ子だった安則さんは、鹿児島工業高校土木科の卒業。これからの社会基盤に欠かせない企業として機動力を発揮できる会社として立ち上げた。数多くの重機類を動かし、効率よく仕事を進めるためには、高い技能と高い安全意識を持ったプロのスタッフが必要不可欠と、「礎を築く企業」を理念におき、機動力ではどこにも負けない会社づくりに本腰を入れた。社名は、会長が5月生まれで、爽やかな季節のイメージから採用した。
総合建設業として機動力を発揮するためにはマネジメントも重要と、ISO9001・14001、OHSAS18001などの認証取得にもいち早く力を入れ、会社の経営基盤が整ったこともあり、今年7月から二代目の真二さんに事業を継承した。
土木、舗装が主力で直近の完工高は10億円。ランクは県、鹿児島市ともにA。現在は公共4割、民間6割(下請けも含む)の構成で経常利益も安定している。市街地に広大な敷地(資機材センター)を確保、「70台前後の重機類を効率よく動かす機動力と汗をかく集団」を売り物に桜島の降灰収集、産業廃棄物の処理などにも参入。地域のインフラ整備を支え、地元から頼りにされるパワーを発揮する施工会社として知名度も高い。
会長からの申し送り事項は「人を大事にする。人を育てる」。創業メンバーが築いた基礎をしっかり守りながら次の世代へスムーズに引き継ぐことが二代目の責務。「人間の成長が会社の成長。年齢構成に格差が生じると、世代交代への移行がスムーズに行かなくなり、業務が停滞する。弊社でも継続的に採用できない時期があり、3年くらい前から若手の採用を強化し、今年度からは、採用の特設ホームページを開設している」と、格差解消に力を入れる。
一時期、中堅の核となる部長以下が不在で、ホップ・ステップ・ジャンプができない状況があったが、ベテランの取締役部長に残ってもらい、フォローしてもらうことで急場をしのいだ。
同社の自慢は、迅速な機動力に加えて、確かな施工、品質、人材が三拍子で揃っていること。優良建設現場も多く、国土交通省など関係機関から数多くの事業者表彰を受けている。
安則会長の「本業に固執するなかれ、されど本業を忘れるべからず」との立ち位置から、20年前にゴルフプラザビスタ(200ヤード、80打席)を開設するなど関連事業への取り組みも強化している。さらにオープンにモノが言える企業風土も育ちつつあり、毎月1回開く安全大会では、単純に仕事に取り組むのではなく、知恵を出し合い、コスト意識を共有して一緒に考え、創造する企業を打ち出す。「アイデアのないところからは何も生まれないし育たない。建設的に議論してこそ発展へつながる」と、プロとして技能を磨き、追求心を持って仕事に向き合う。
「まだまだ経営者としては未熟。先輩方のフォロー、サポートをもらいながら会社とともに成長していきたい。心技体の精神で社員一丸となってさらなる飛躍を図り、地域密着で快適な環境づくりに対応する企業を目指したい」と、二代目は力強い。
大学卒業後、就職したコーアツ工業では、千葉、埼玉、沖縄、福岡、兵庫など橋梁の現場監理者として仕事に携わった。「生きた現場を体験したことで、会社の経営理念でもある礎を築く仕事の重要性を学ぶことができた」と、その時の経験が今に生きる。
更新日:2016年9月