鹿児島建設新聞

寿産業 内田敬之

Profile

加世田高校から日本大学理工学部土木工学科を経て、安藤建設(現・安藤ハザマ)で下積みを経験して帰郷。家業を継ぐため同社に入社、平成14年5月に社長に就任。40人の社員を束ねる。県建設業協会青年部会日置支部長、県建設業青年部会副会長、県中小企業家同友会青年部会長の役職を務める。家族は真理子夫人と子ども2人の4人暮らし。趣味はプロ野球鑑賞と旅行。座右の銘は「受けた情は石に刻み、懸けた情は水に流せ」。日置市吹上町出身の44歳。

地域・社会に貢献できる企業—を標榜するだけあって、工事部、環境事業部、開発事業部の3本柱に、12業種で構成するなど事業内容は多彩。「小さくても中身はしっかりした会社に」と将来を見据える。社長を受け継ぐ時に創業者の父・次男さんから「地域、社会のためになる企業」と、言われたことをしっかり守り、飛躍を目指している。人生は挑戦と失敗の繰り返し。ひるむことなくチャレンジ精神旺盛である。

経営理念の一つに「当社を取り巻くすべての人々へ笑顔を届ける福の神を目指す」ことを掲げる。地元の人に喜ばれ、幸せを運ぶ福の神的存在でありたいという社長の想いが、その理念に繋がる。

同社は、昭和52年に地元では名湯として知られる新湯温泉を経営していた父の次男さんが「温泉経営には男手は要らない」と、不動産、宅地造成事業を手掛けたのが始まり。地元密着で経営基盤を築き、平成14年5月に二代目の敬之さんにバトンタッチした。

樹木に学び草花を愛す寿ぎの未来へ—が社名の「寿産業」の由来で、環境事業部を大きな柱に育てたことが同社の使命感にも通じる。ちょうどこの時期、平成の大合併で市町村の再編が進み、政権交代などもあって建設業界は苦境が続いた時期もあったが、これから伸びる業種に「便利屋」「清掃業」「建物解体」の新機軸を掲げ、ごみ収集・運搬、ごみ処分、ごみ処理、遺品整理業分野に参入したことが業績拡大に繋がっている。

解体現場

ごみ回収事業を手掛けたころ、同社のごみのチラシ一枚を手に握り締め「こちらで回収してもらえるんですか、困っていました」と、会社を訪問する高齢者もいて、「本当にこの事業を始めてよかった」と敬之社長。「粗大ごみ・不用品はお任せ下さい。まかせて安心!寿マン」という文言が入ったユニークなチラシも効果抜群だ。

ごみ回収車両

同社では、何の目的もないまま、鹿児島市からの払い下げで購入した2tの塵芥回収車両(パッカー車)を道路沿いに止めていたところ、ごみ回収の依頼が飛び込み、同事業への参入につながったというエピソードもある。このことが、思いがけずに地域に必要不可欠な事業への参入のきっかけになったというから面白い。

平成15年から自社で運営している安定型処分場が今では同社の経営を支える強みにもなっており、このように環境関連事業をキーワードに取り組んできたことが救世主になった。

地域密着の総合建設業だが、売上げベースでみると民間8割、公共2割の構成。これから伸びる分野ととらえてLED事業の(株)アドバンス・アシストも立ち上げ、最近では高齢化社会を見据えた〝終活セミナー〟の研修にも参加している。

ゴミ回収作業

今後の業界動向については、頭打ちか減少傾向と分析。若手の採用、育成を課題に掲げる。昨年、一昨年を通じて新卒を含め7人の若者を採用し、今年度も2人を採用の予定。業界で働く従業員の高齢化が進む中、同社の社員の平均年齢は42歳と若い。「これからの企業発展、業界活性化のためには中堅社員の育成は欠かせない。社員の子息などがあこがれて入社してくる〝寿産業ファミリー〟を築きたい」と、意気込みを見せる。

会社の課題としては「社員教育の体制づくり、民間の専属顧客の拡大」を掲げ、社会に必要不可欠な企業、事業参入に力を入れる。

解体業にも注力、犬小屋からマンションまで万能解体戦士・寿マンにお任せ下さい—という型破りの寿マンチラシのPR効果も大きい。

更新日:2016年1月

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