鹿児島建設新聞

フクダ 福田忠治

Profile

高校卒業後、測量専門の国土建設学院に進み、家業の建設業を継ぐ。社長に着任後、一貫しているのは「社員が主役の会社」。一級土木施工管理技士、測量士、二級建築施工管理技士などの資格を持つ。独自で試験的に始めた人材育成もほぼ軌道に乗りつつある。好きな言葉は「夢なきものに成功なし」。趣味は「昔は仕事だったが今はテレビ鑑賞」と屈託がない。家族は夫人と子ども2人の4人暮らし。社員はパートを含め10人。串良町出身の59歳。会社所在地は、鹿屋市串良町岡崎2100−7。

福田ご夫妻

「良い仕事とは顧客の信頼を得ること。そして社会の望むことを考え実行すること」。(株)フクダの社訓は、進むべき方向性をこう示している。時代、業界が大きく変化する中で福田社長は社員を大切に思う気持ちを誰よりも重視する経営を実践している。社員の給料は、少ないより多い方が良い。ただ会社としては、ない袖は振れない。「だから折り合いをつけながら、できるだけ要求に応え、社員を大切に働きやすい会社に」と、公共工事が激減、下請けがメーンとなる中で、従業員の仕事ぶり、人柄で信頼を売る戦略への転換を図る。同社ではダチョウ牧場も経営、成子夫人が化粧品、ケーキなどの商品を開発、軌道に乗せる取組みも強化している。

同社は、終戦の年に父親の重則さんが興した大工業が始まり。24歳の若さで棟梁となり、活躍した腕のいい職人だった。「わが家は、あんたのお父さん・重則さんが造ってくれた家だよ」と、今でも近所の人から話を聞くことがある。戦後の復興期に父親が家造りで培った技と伝統は、2代目に継承されている。今年で創業70年目。

「余り仕事のことは話さなかった父ですが、勉強熱心で夜遅くまで現場での木材の切り込み作業などに追われながら職人の面倒見がよかったと聞いています」と福田社長。その父親も7年前に83歳で他界。平成10年から社長に就任。この間、公共工事が激減、「地道にコツコツ」だけでは売上げ拡大、経営維持は難しい局面を迎えている。社長に就任後、資本金を増やす一方、経費削減に努め2000年には仕事の質を高めるため品質マネジメントシステムISO9001、14001などの認証を取得、経営体質の強化に努めてきた。主要業種は土木、建築、舗装、とび・土工で、比率は土木8割、建築2割。4年前には、社名を福田組から(株)フクダに変更した。

この現状に福田社長が日々実践していることがある。それは、「苦しい現状から決して逃げない」「社員を信頼して持っている技術と人柄で勝負」「下請けの現場、仕事を選ばない」の3訓。経営理念、経営戦略の質問を投げかけても「社員が主役の会社」「食いっぱぐれのないように」するのが社長の仕事。「社員こそが会社にとって財産。会社はそこに働く社員がいて成り立つもの」と、社員の存在を尊重する姿勢を貫く。

これからは、組織の改善をどう進め、仕事に役立つ情報を集める情報戦が生き残りの道—と、市場の変化に対応、新しい試みにも果敢に挑戦している。

ある日、仕事が途切れたため、従業員に自宅外壁の塗装をさせたところ、全員が手仕事の実力を発揮、率先して働き、「ありがとうございます」と感謝され、チームワークのよさも感じた。その時「経営の原点はこれだ」と、ピンと来たのだそうだ。それは、社員との信頼関係であり、社員にとって居心地のよい会社であり続ける企業の姿勢だ。

ダチョウ牧場 同社のもう一つの事業は、福田社長の鳥好きが高じて11年前から始めた「ダチョウ牧場」の経営。今では成子夫人が代表を務め、ダチョウの卵と脂に含まれる成分「オーストリッチ」に着目、その成分を活用した保湿ジェル「温潤」、保湿クリームなどの化粧品、石鹸、スポンジケーキなどを次々に商品化。素肌にやさしい溶融温度28・9度のクリーム「オーストリッチシリーズ」の洗顔・保湿クリームは、肌への浸透も早く、みずみずしい肌合いを持続できることから主婦層を中心に静かな人気を集めている。ここまでたどり着くには、成子夫人の並々ならぬ研究と努力があり、その熱心さには忠治社長も舌を巻くほど。「なんとか販売までこぎつけることができた。今のところ受注生産だが、事業の柱として軌道に乗せたい」と意欲を見せる。3年前には、赤鶏からあげコッコ屋とFC契約を締結、その店に店長志願の社員を送り出すなど、ここにも社員思いの心が生きる。

更新日:2015年12月

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