鹿児島建設新聞

日東 東達郎

Profile

明治学院大学を卒業後、3年間四国の山奥で山仕事を覚える武者修行。その後、家業の日東に入社、常務を経て平成3年から現職。若い頃の辛かった山仕事の経験が今に生きる。ほぼ毎日、工場の最前線で社員とコミュニケーションを交わし、現場主義に徹する。本社は都城市早鈴町2130‐1。同市出身の62歳。

最近の家づくりは、広いLD、自然素材の質感を生かして健康的—と言った要素を採り入れる傾向が強い。そこで注目を集める床材、壁材。厳しい市場を見越し「積極的な先行投資、新シリーズ商品の販売などで更なる安定経営を図る。今後は、マンションの床板張替え(リフォーム需要)などの取り込み、海外への輸出戦略がカギを握る」と、先を見据える。課題は「緻密な顧客ニーズ対応とスピード感を持った先見性と戦略」。

同社は、7期連続で「桧床板、壁板生産量日本一」(東京商工リサーチ調査)を誇る床・壁材の専門メーカー。新工場完成を機に新シリーズの床材を発売、価格据え置きで市場での需要拡大を図る。

少子高齢化などで戸建ての新築需要が低迷するなか、「桧板は軟らかくキズがつきやすいのが難点」「もっと硬い床材はできないか」と言った声が根強かった。こうしたユーザーニーズに応えるため、従来の5倍の塗布量(6層構造)で、表面の硬い「キズつかーズシリーズ」を開発。

ハード・コート塗装ライン

同シリーズは、硬さを増すため従来の仕様(鉛筆硬度6B〜5B仕様)を6H以上に改善。物を落としてもヒビ割れずキズがつきにくい。塗料にもシックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなど有害な物質は一切使用していない。全ての商品が健康をテーマに開発されたノンホルマリン対応。バリアフリー、年齢、性別、障害の有無など、誰でも使い易いユニバーサルデザイン面からも優れた商品。

昨年12月、森林整備加速化・林業再生事業を活用して無柱構造の第八工場(2310㎡)が完成。最新のハード・コート塗装ラインを導入、今年1月から販売を始め、売上げは対前年比20%増と順調。

桧は香気、耐久性、保存性に優れ、加工も容易。昔から人気があり、宮殿、神社仏閣の建築材、仏像などの彫刻材、家具調度用に使用されている。引用される言葉も「桧舞台に上がる」「総桧づくり」「桧御殿」など、高級なイメージがある。

最近は、広いLDに代表されるように玄関からのアプローチを重視、お客様の目線の先に浮(う)づくりの床が広がる家と言った傾向が見られる。「床材・壁材の供給元として桧の持つメリットを最大限生かし、子どもからお年寄りまで安心して暮らせる健康的な住まいづくりを支援して行きたい。社是の創意工夫を大切にして、この難局を乗り切りたい」と、力を込める。

建築用材の製材業として昭和26年創業。桧端尺材を活用した集成床板・壁材などの量産化を進め昭和61年から29年連続生産量日本一を継続中。年商は約13億円。商品の種類は300を超える。本社の年間生産量は12万坪。また、輸入材のサクラ、ナラ材は中国の4拠点に協力工場がある。

同社玄関口には、父で創業者・故三郎氏の銅像があり、出勤の社員たちを見守る。その碑文には、「私の足跡はすべて山に残してある 私の心はすべて山に映してある」と、刻まれている。

更新日:2015年8月

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