鹿児島建設新聞

大隅ビコー 髙橋 紀浩 氏

Profile

 曽於市を拠点に、一般廃棄物の収集運搬業務や竣工受渡し、ビルメンテナンス業などに取り組む。ようやくコロナ禍も明け、韓国旅行を再開するのが楽しみ。入社から20年の今年3月で満49歳。

 「休業日はお正月ぐらい。全社員揃った研修旅行などまずムリですね」。一般廃棄物の収集運搬を曽於市などから請け負う仕事の特性上、年末や年度末はさらに激務になるという。「お客様が納得し、喜んで頂ける仕事を心がけている」。エッセンシャルワーカーとしての誇りを胸に事業を展開する。 
 県下三大祭の一つに上がる弥五郎どん祭りは、大隅半島北部に位置する岩川八幡神社を出発する大男の「浜下り」で最高潮に達する。その会社は、5m近くの巨体が練り歩く市街地メーンストリート近くに社屋を構える。
 1988(昭和63)年、当時の曽於郡大隅町内で創業し、高橋紀浩専務が高校3年時の92(平成4)年、現在の同町中ノ内に移転した。代表を務める専務の父親・泰久氏は東北の仙台市生まれ。同町出身の母親とは東京都で出会う。

弥五郎どん祭りの写真

 紀浩氏が生まれた当時、高度経済成長期の都内は光化学スモッグなど深刻な大気汚染に悩まされ、弟ら兄弟3人が気管支喘息を発症。このため、母親の故郷に一家で引き揚げ、泰久氏がサラリーマン時代に体験したビルメンテナンス関連の職務が生業となった。
 社名は東京時代の勤務先にちなんで命名。右肩上がりの景気の中、ニュータウンが各地で造成され住宅は建築ラッシュ。ハウスクリーニングの需要が膨らんだ。紀浩氏は「鹿児島に無かった事業と聞いた。当時の隙間産業だったのかな」と、創業時に思いを馳せる。
 ただ、パソコンの普及が世界を席巻した90年代、紀浩氏の関心は電子工学の分野に広がり、第一工業大学(現第一工科大学)に学ぶ。「電子制御されたパチンコ台には興味があった」。遊技場でのアルバイトは、その裏側を知って満足しただけでなく、上司のスカウトを受けモリナガに入社。約6年間で2店舗のマネージャーを任され、体験は今の労務管理に生きる。

パッカー車を入れた遠景+事務所入口付近

 現在、曽於市と志布志市で、それぞれ一般廃棄物の収集運搬業務を受託する5社で構成の協議会メンバーの一員だ。共同受注に向けた組合活動を目指す取り組みが、20年の発足当初からコロナ禍対策に。「事業所でクラスター感染が発生しても、住民サービスが低下することなく互いに協力できた」。
 また、公共的な施設の定期清掃や建築物の竣工受渡しも主要業務。これらの間を埋めるのが不動産業経由のハウスクリーニングで「入社当時の20年程前は非常に多い業務だった」と振り返る。
 人手不足は他業種と同様、課題の一つ。「新しい依頼の口が来るのは、家族経営のような小規模事業所が年齢とともに廃業するからだろう」とみる。「仕事が増えても、そこをどう回していけるのか。人手の確保が生き残りのカギになる」。

パッカー車に収集物を積み込む様子

 新たな需要は、過疎と高齢化の中、都市部の依頼人からの要請だ。本格的な事業展開には、料金も格段の差がある「遺品整理士」資格を取得したいところ。だが「新規雇用と仕事量とのバランスは容易ではない」。それでも、行政を通した一般廃棄物処理としての依頼は増える傾向にある。
 従業員には一層安心して働いてもらえるよう、職場環境の改善に腐心する。社会保険で賄えない自己負担を補う総合事業者保険にも加入し、病気やケガに加え休業補償にまで備える。一同に会する機会の確保が難しく、忘年会や焼肉パーティ等の替りに職員用装備品の充実を図る。
 コロナ禍も明け、個人的には韓国旅行を再開したい。「大きな市場や、まだ日本にないカジノもあって楽しめる。東京に遊びに行く半分の経費で、異なる文化を体験できるのが魅力かな」。

更新日:2023年07月

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