鹿児島建設新聞

空間デザインたにぐち 谷口 献児 氏

Profile

 県立鹿屋工業高校から福岡市の専門学校を卒業。大手店舗改装会社で商業施設のディスプレー等に従事した。父親の誘いで帰郷し故郷で営業に勤しむ中、喜ばれていたという「声の有難さ」に背中を押されてきた。会社は「人生塾」という52歳。

 大隅半島のほぼ中央部に位置する鹿屋市は、南北に街を貫く肝属川沿いに旧市街地が形成されてきた。このエリアの北部に位置する西祓川町から、現在地の旭原町に本社移転し3年半。代表就任から13年目を迎える谷口献児氏は「バイパスが完成して街自体が動いた。さびれた町の中での勝負は難しかった」と振り返る。
 同社は、内装工事の許可業者として、近年3~4億円の完成工事高で推移。一方で、国道220号の改良(鹿屋バイパス)が進み、環状線として機能するに従い、街の賑わいがロードサイドに向かって東へ移動した。これに伴い客足の落ち込みも否めず、売上げの確保も厳しくなっていた。
 こうした中、5年前の2017(平成29)年2月、本社移転に先立ち、本格的なショールームを現地に開設。バイパスの旭原町交差点から南へ100mの地点で、店舗面積約60坪(200㎡)の施設は南九州屈指の展示場として、メーカー各社の注目を集める。

店舗外観

 「Interior Design Studio」と命名されたショールームには、室内装飾品約4000点が展示され、落ち着いた雰囲気の中で、じっくりと品定めができる。また、常駐スタッフが来店者のイメージに耳を傾けながら、丁寧な商材の提案に努めている。
 店内では、カーテン約600点、壁紙約1800点、床材約1500点など、インテリアメーカーの商材を手にとって確認できるだけでなく、タブレット端末を使ってスタッフから仕上がりを見せてもらえる。ショールームは「~あなただけの、そして家族の幸せな空間づくり~」をコンセプトに謳う。
 「本当に偶然でした。西日の影響も少なく、向こうからもこちらからも来られる場所が、探し始めてすぐに見つかった」。谷口代表は、これまで以上に地の利を得たとして、霧島市や都城市の商圏も視野に入れた事業戦略を練っている。

店内内観

 創業の地は、現在地と移転前の西祓川町に挟まれた下祓川町。代表の父親の谷口国広氏が、(有)室内装備たにぐちとして、1981(昭和56)年5月1日に設立した。その後、国広氏が急な病に斃れ、98(平成10)年6月、代表の母親である美代子氏が跡を継ぎ、以来、12年にわたり献児氏が副社長として支えてきた。
 社名は、2010(同22)年5月、代表就任に合わせて変更。「内装」というより「インテリア」。「若い人に室内装備では伝わらない」と、複数の候補から社員と決めた。心落ち着く快適な空間は生活の質を高めてくれる。「数え切れないほどの壁紙・床材などから、室内を作り上げる楽しさを多くの人に味わってほしい」。

終礼風景

 最近の関心は「働き方がどう変わっていくのか興味深い」という。来年2月、ベトナムからの技能実習生の受け入れ予定がある。国内では英語が一般的でないだけでなく、豪州の最低賃金が二千円になったことなどを引き合いに「このままでは、地方で働く職人やなり手がいなくなる恐れがある」と嘆く。
 「人材不足は経営危機の裏返し。規模縮小かエリア拡大かが問われている」と分析する。座右の銘の「失敗することを恐れるより、何もしないことを恐れろ」という本田宗一郎氏の言葉を胸に「必要とされる会社づくり」に挑む。活力の源は、「ひたむきに業務に打ち込む社員の姿」だ。
 子どもらには、海外の楽団入りを目指す長女をはじめ、自らの道を究めることを勧めており、後継者は従業員の中から育てる考え。「家族」と捉え「次世代を担うべき人材」として、その生活を守っていくのが、自らの責務と誓う。

更新日:2022年11月

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