鹿児島建設新聞

南防 原田 善章 氏

Profile

 「人が病気にかかるように建物も老朽化が進行し、少しずつ劣化のシグナルを発している」。定期的な調査でこれを発見し、適切な診断で対応策を提示する。建物の長寿命化を実現するこうしたコンサルティング活動こそ「わが社の存在意義」と強調する。体力維持で近頃ゴルフを再開。代表就任3年目の48歳。

 法人設立から44周年の同社は防水工事をメーンに、近年、業績の拡大が続く。創業者の原田毅(たけし)氏は、2020(令和2)年に代表を退いた後、顧問に就任。現在、息子の善章(よしゆき)氏が二代目として事業を引き継ぐ。
 鹿児島市紫原に本社を構え、霧島・姶良・南さつまの各支店をはじめ、県内8カ所に営業拠点を配置。直近2カ年平均の防水工事は、元請だけでも4億円近くに上り、九州管内では第3位の実績を誇る。下請工事を含む完成工事高では、同様に2カ年平均が12億7800万円余りで第6位。
 県内では、防水工事の完成工事高が2位以下を大きく引き離し、下請工事を含む完工高では同業他社の3~4倍以上の事業規模でガリバー的な存在だ。それだけに、善章代表は「これを維持することは死ぬほど大変だ」と、のしかかるプレッシャーを打ち明ける。

社屋外観

 代表は鹿児島市内の高校を卒業後、防水関連の資材メーカーに入社し、東京や大阪、福岡などの支店・営業所に勤務した。また、「広い視野を持てるよう、気候も真逆な」北海道の現場も体験。「現地の同業者から仕事をさせてもらったことは、自らの成長にとって大きな糧になっている」と振り返る。
 およそ20年間、全国各地で修業し9年前に帰郷。副社長を経て20(同2)年5月、代表に就任した。社名について「防水業者として、将来、南九州地域の老舗プレーヤーになるのだ」との心意気を感じている。一方で、「意気地なしと言われれば、それまでだが。いま、さらなる上を目指すべきなのか」と慎重だ。
 多くの例に漏れず、働き手の確保は大きな課題。「建設業のイメージが良くなっても、働き手がいない。永続的な事業には若い人材確保は不可欠」。天候に左右されることの多い現場を抱える業種というだけでなく、「働き方改革」への対応を含め、骨の折れることは多い。

イメージ社員

 10年保証の責任施工が通例の防水工事。「工事の完了が終わりではない。お引渡しの後からが、わが社の品質です」。1993(平成5)年から開始した全国初という「アフターメンテ」が、来年で丸30年。長年にわたり、依頼主の厚い信頼を得てきたことが、成長の背景にある。
 施工後2年目、4・6・8・9年目と計5回の自主点検を実施し、施主や監理者に報告書を提出している。また、無料点検そのものは、先立つこと7年前の86(昭和61)年から実施してきた。
 さらに同社では、防水を基に業務の多角化を図る。外壁改修や金属屋根のみならず、建物の耐震補強のほか橋やトンネルなど、コンクリート構造物の補修も手掛ける。「新工法は日進月歩。防水技術の高まりと有効性を設計者に提案することも、営業の根幹です」。土木の分野は奥が深く「まだ勉強不足の面もあり、知見を広げていきたい」と意欲的だ。

コンクリート橋の防水措置

 他分野への展開について善章代表は「アフターメンテが軌道に乗り始めたからこそ」と語る。「これなしに会社の存在意義はない」と強調する。メーカーとの関係も含め全国にアンテナが広い同社。「建物の長寿命化」を使命に、関係業者との組合活動も運営し、現在、毅顧問が鹿児島県外壁改修・補修工事業協同組合の理事長を務め、技術の共有に尽力する。
 経営を任されるようになって2年余りの善章代表。息が詰まるような重圧を感じつつも「懸命に働く従業員の姿に突き動かされる」という。「何をやるにも体が資本。健康でいたい」。体力維持のためのジム通いと、近頃再開したゴルフが楽しみ。

更新日:2022年09月

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