第2週(5記事):施工管理技士を深掘り
「未来への地図」 (2002/02/19 14面)
(株)建設管理センター 代表取締役社長 音喜多忠雄氏 / 建設業の資格⑤
前回まで述べてきたように業法は、経営者よりも技術者の配置をまず重要視して、その中心に位置づけています。この業界で仕事をしていくために、第一に取得しなければならないのは、各施工管理技士の資格です。その種類と正確な名称は次の通りです。
①土木施工管理技士
②建設機械施工技士
③建築施工管理技士
④管工事施工管理技士
⑤電気工事施工管理技士
⑥造園施工管理技士
⑦浄化槽設備士
の7種類です。浄化槽設備士以外は全て、各1・2級と区別されています。国土交通省は、これを数個所の財団に検定試験を委託しているため、一層複雑になっているように受験者には捉えられています。そこに乗じて紛らわしい民間資格や無試験等を強調した講習会が横行していますので、十分に注意して下さい。
ここで国土交通省の委託先を正確に述べますので参考にして下さい。
◎土木・管工事・造園施工管理技士…全国建設研修センター
◎建築・電気工事施工管理技士…建設業振興基金
◎建設機械施工技士…日本建設機械化協会
以上が試験の実施機関です。試験の申込書は実施機関で作った「手引き」「正規の書類」を使い、決められた期間内に指定されたところへ直接提出することが原則とされています。
また、合格者に対しても大臣が認定を授与し、「各施工管理技士」と称することを認めます。
次に「試験免除」について述べていきます。国家試験に関連して「試験免除」という言葉がよく使われますが、これは「無試験、無条件に資格が取れる」ということではありません。「試験免除」とは次の場合のみです。
国から委託を受けた機関の終了試験に合格した場合です。この場合は、国に対して所定の手続きをすると改めて国家検定試験を受けなくてもよい(免除される)ことになります。ですから合格後、必ず国に一定の手続きが必要になり、その後国土交通大臣の付与する認定証が送られてきます。
建築・土木・管工事施工管理技士の2級は「官報」で告示されたように、14年度までに限定して、一定の実務経験者で年令が35歳以上の方は、全国で一斉に実施される一般試験を免除されます。この技術研修制度については次回で詳しく述べたいと思います。
「未来への地図」⑥ (2002/02/23 2面)
(株)建設管理センター代表取締役 音喜多忠雄氏
一定の資格(経験・学歴等)のある者が、4日間にわたって技術研修を受け、最終日に行われる修了試験に合格すると、建築・土木・管工事の2級の資格を取得することができます。これが、2級の技術検定の学科試験及び実地試験の全部を免除するという制度です。この技術研修も、国土交通省が技術検定試験を指定しているのと同じ各財団法人・社団法人に委託されています。
土木・管工事は全国建設研修センター、建築は建設業振興基金。本研修はこの指定された機関以外では一切行われていません。
この特別研修は、豊かな知識と経験があって現場では十分な施工管理能力を有し、指導監督的な業務に携わっているものの、「試験が嫌い」「試験勉強をする暇がない」「一度受験したが不合格だった」などという人達を救済するために開かれます。国土交通省は、施工技術の向上を図る目的の一環としてこの研修を行っています。
受講後は必ず修了検定に合格するとは限りません。それぞれの講習の効果評定(学科・実地の修了検定)に合格した者が対象となります。
例えば、土木では前年度は30-40%の人が不合格になっています。「一般試験」よりははるかに取得しやすい制度ですが、あまりにも無防備だったり、準備不足では4日間の研修が無駄になってしまいます。
そのために、長年にわたって各試験実施機関と連携を密にして、その事前研修を全国的に真面目に開催している講習機関がありますので、そういう機関を任意に受講希望されるのも良い方法と思われます。こういう機関では特に実地試験(論文)について、わかりやすく個別に指導しています。
しかしこの制度を悪用して、その任意機関の研修を受講しなければ資格を取得できないとか、事前研修をせずに案内状だけで多額の費用を要求する悪質な業者もありますので注意が必要です。
このようなトラブルを防止するためには、国土交通省の総合政策局建設業課または前記した試験実施機関や信頼のおける研修機関等に問い合わせるのが最良の方法だと思います。
同研修は前述の目的のため実施していますが、近年大学卒業者や30代前半の受講者が相当数おり、これらの者を一般社会で「試験による資格取得に馴染まない者」と位置付け、研修によって大臣資格を安易に付与することについては見直しが行われています。国土交通省は一般からの意見(パブリックコメント)を受け付けています。そのためにこの制度は今年度限りになることも予想されます。
受講受け付けは、建築は3月1日、土木は3月15日、管工事は5月22日までです。受講資格は次の表の通りです。
「未来への地図」 (2002/02/26 2面)
(株)建設管理センター 代表取締役社長 音喜多忠雄氏 / 建設業の資格⑦
いかなる産業においても、仕事には、経営・管理・技能と三つの役割があります。そして社会の要請に対する最終責任は、最高責任者である経営者つまり社長が負うことになります。
しかし建設業界では、各施工管理技士が社長と同等またはそれ以上の社会的責任を負うことになっています。現場において労働者や第3者にけがや死亡させた場合に、最終責任は社長ではなく、現場施工管理者が負うことになるのです。
一般の産業ではこの職務を生産管理(工場での管理)といいますが、この業界においては、施工管理と呼んで区別しています。
施工管理者の仕事のプロセスは、調査・計画、設計・積算、施工・検査となっており、各段階における管理者の決断と調整がたいへん重要です。またこの仕事は多岐にわたり複雑になっているため、いろいろな知識と応用能力が要求されます。
各施工管理技士の試験問題は、4科目(①施工管理学②関連法規③各工学の一般知識④専門工学)あり、出題数も1級は約90問、2級は約60問と多くなっています。そのため勉強には時間がかかり、この業界の国家資格の中で、たいへん難しいと思われていますが、勉強のやり方によっては、意外と簡単に取得することができます。
出題者の国土交通省も、働いている人達にこそぜひ資格を取得してほしいという思いから、決して難しい問題ばかり出題されているわけではありません。出題の60%以上は中卒の学歴で十分対応できる問題になっています。このような理由からも、このたび1級の受験資格の学歴は撤廃されました。
そこで、これからその学習方法のコツをいくつか挙げてみたいと思います。
まずその一つは、「生産性の向上」という目的を常に念頭におき、それに伴って発生する問題点の傾向と原因を明確にして、その対策を結びつけて覚えることです。テキストには、問題、原理・原則と対策とに分けて書かれていますが、それを一本の線に結んで捕えることが重要です。
そうすると誰でも内容がよく理解でき、覚えることがコースになってしぼられてきます。これを簡略化してくり返すと、自然に身体に入ってきます。一般には、毎日勉強している学生のように、たくさんの専門用語をバラバラに暗記する手法がとられています。暗記とは暗く記憶するということであり、ほとんど理解されていないものです。何度も暗記するために時間だけ莫大にかかり、あげくの果てに受験に失敗することになってしまいます。
コースで捕えることは暗記する方法の100分の1の時間ですみます。しかも勉強中心である管理学、法規は経験工学であり、人生で経験してきたことが多く、それを単純化して確認することです。ここに気がつくことが重要なのです。
「未来への地図」⑧ (2002/03/02 2面)
問題の傾向から把握を / 絞込み始めた実地試験
学習方法のコツの二つ目は、施工管理学と関連法規の勉強に重点を置くことです。1級の学科試験は四訳問題で、約90問のうち一定の条件で60問選択でき、その60%、つまり約36点で合格となります。施工管理技士という名称からも管理学の30問が必須になっています。
法規問題(12問中8問選択)も施工管理学の対策部分なので、共通して学習できます。これらは共に社会科学に属し、経験工学が中心なので、勉強を進めていくと意外に簡単に学習の効果が現れてきます。
例えば建築の1級試験を受験する場合、建築学等の専門が難しく、またそのウエートも高いと思われがちですが、実際の専門問題は25問中10問の選択ですみます。解答する60問のうち社会科学の配分が38問で、社会科学を繰り返し勉強し、専門は始めから自分の得意分野のみ(約3分の1)を集中して勉強するとよいでしょう。決して全体をまんべんなくする必要はありません。前述したように、丸暗記ではなく、コースで手順よく勉強し、社会科学に重点を置いた学習をすると、自然と理解でき、合格点につながります。
しかし実地試験は論文形式なので、白紙の上に文章で記述しなければなりません。普段現場に出ている人は机に向かうことが少なく、文章を書くということから遠ざかっているので、苦手意識が強く、施工管理技士の受験を初めからあきらめている人が多いようです。
そこで三つ目のコツは、実地試験の解答の仕方についてです。学科は共通(専門)用語の知識中心ですが、実地はその応用能力を問うものです。仕事の中で施工管理能力をどう生かせるか、仕事の姿勢が問われることになります。
実地試験では、「あなたの経験した工事についてその問題点と対策を簡単に述べよ」と出題され、品質、工程、安全管理という3つのテーマのうちいずれかのコースについて記述することになります。
これは自分の体験そのものを書けばよいのであって、知らないことを書かなければならないというものではありません。
起承転結という作文の原則にのっとって、施工管理の「問題点↓原因↓対策↓結果」という展開で記述すること、次に内容的に一貫性、明確性、具体性、簡潔性を持たせることが、チェックポイントになります。
管理技術という職務の自覚があれば、意外と簡単に記述できるものです。
近年、学科試験で門戸を広げる一方、実地試験においては、合格圏をかなり厳しく絞り込み始めたと思える節があり、おそらく今後もこのような傾向が続くものと考えられます。そこで、問題の意図を傾向と背景から分解して把握し、まず第一に何が求められているのかを考え、後は作業現場での日々の経験をもとに素直に記述していくということが大切になります。
「未来への地図」 (2002/03/05 2面)
(株)建設管理センター 代表取締役社長 音多喜忠雄氏 / 建設業の資格⑨
「各施工管理技士」の資格は、今まで継続して述べてきた通り、許可を受けている業者の営業所における「専任技術者」及び工事現場における「主任技術者、監理技術者」となるのに必要です。公共工事一般競争入札において、業者評価(新経営審査基準)で、この資格者は高く評価されております。
さらに施工体制台帳(現場組織体制)を作成する場合にも、必ずこの資格者がいなければ作成できません。
また、この技術者がいないと、発注者、元請け、下請けなどの業者間や、第3者等の責任所在に問題が出て、正常な関係が保てなくなります。将来、民間工事においても、この資格者の人数がコンピューターでオンライン化され、「会社の信用の証」となることがますます強くなってきます。
このように21世紀は建設業者にとって技術者中心の時代を迎えることになります。
しかし、一般の人には、ほとんどこの技術者の資格名称は知られておりません。この業界にいる職人でさえ、あまりわかっていません。そのため資格取得の準備不足で、取得できるチャンスを逃していることが数多くみられます。
この業界で技術者と言えば、一般的にすぐ「建築士」と捉えているようです。建築系の業者でも、建築会社には建築士の資格が必要でないかと勘達いしている例が多いようです。
建築士の所管は国土交通省住宅局であり、「建築士法」に基づいた国家資格(1級…国土交通大臣、2級及び木造…都道府県知事)です。その目的・業務は、①建築物の設計②建築物の工事監理③指導監督(発注者側の立場)④建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理-などです。
立場上から言えば建築士は発注者側の代理人であり、請負者の反対側の立場で、業者の施工を監督し、チェックするのが仕事です。法律上は明確な職務になっていますが、現況では、いろいろと混同されたり、2級はなぜ知事資格で1級になると大臣資格なのかはっきりせず、さらに木造建築士は名称すら知られていません。
建築系業者(16種類の許可業者)の必要な資格は、大臣付与の「建築施工管理技士」であり、「建築士」ではありません。しかし以前は、建設会社に入った若い人は、まず建築士の資格を志しました。その結果、現在は70万人以上の建築士の資格者が存在しています。が、実際に設計事務所等で設計・監理業務に携わっている人は10%にも足りません。そして、60%以上の人は請負側にまわっているのが現状です。
これには行政指導にも多少問題がありました。こうした状況とその他考慮して、(旧)建設省は余剰の建築士を請負業者側で技術者として業務につけるように、建築系工事の一部(建築・大工・屋根・タイルブロック・内装・1級のみ鋼構造)を便宜的に認めているのです。
ですから建築会社に勤めている人は、建築施工管理技士の資格をまずとることをお勧めします。国土交通省の調査でまだ大変不足しているのが明らかになっています。そこで同省では、前述したように資格者増員計画を打ち出しており、また図面の試験がない分、現在は建築士よりも比較的簡単に取得できます。将来、設計の仕事や設計事務所で働こうとしている人は、建築士を目指してください。








