「未来への地図」 (2002/02/02 2面)
(株)建設管理センター 代表取締役社長 音喜多忠雄氏 / 国家資格の種類と取得法について
国家資格の種類と取得法について
現代は「資格の時代」ともいわれるほど、多くの資格が、いろいろな職業に設けられています。その中でも「建設業ほど資格、ライセンスの多い業界はない」といわれています。各施工管理技士だけではなく、安全衛生関係や電気関係、建築士、技能士なども含めると、膨大な数の資格があり、その取得が必要となっております。さらに技術の高度化、専門化に対応し、各種の資格制度が新設され、あるいは既存制度が拡充されることにより、資格の種類は増加する傾向にあります。
このため建設業者の資格取得に対する関心は高いものの、その反面、資格の種類、試験の実施機関名、申込方法等の具体的事項についてはあまり知られていません。そのうえ、資格取得のためには、各企業が経費を負担し、技術者の養成に時間をかけることになっていますが、その費用もかなりの額にのぼっています。
このような現況において、全国各地で、業者の国家資格取得に関しての情報不足や無知に乗じて、紛らわしい民間資格等がいろいろ出回っており、その被害もかなりの人数、金額になっています。
そこでこれから建設業者にとって必要な国家資格とその制度、将来の展望、取得方法等を紹介していきたいと思います。
国家資格とは、国の機関が管理して行う試験の合格者に対して一定の地位、活動について与える免許です。国は各省庁で編成されており、それぞれの省庁が単独または合同で資格制度を設けています。
建設業者に関連する主な省庁は、国土交通省、厚生労働省、経済産業省、環境省、総務省(消防庁)等です。「国家資格」とは「法律」に基づいて設けられている資格で、各大臣が直接付与する「大臣資格」と各都道府県知事に委託して付与する「知事資格」等があります。そのほか、準国家資格として「大臣(長官)認定資格」があり、この資格は民間団体(公益法人)等が実施している資格制度を所管省庁が認定したものです。このうえさらに紛らわしい民間資格もあります。
また資格制度はそれぞれ社会的要請や目的をもって定められており、その目的、適用業務等の資格制度の内容について的確な認識をもつことが重要であり、資格取得の近道でもあります。この厳しい競争の時代を生き残るために、資格者の確保が一層求められています。その中でこのような制度と目的と的確な業務を組み合わせて、できるだけ簡単に必要な資格を取得できるような方法を述べていきたいと思います。
「未来への地図」 (2002/02/05 2面)
(株)建設管理センター 代表取締役 音喜多忠雄氏 / 建設業の資格②
建設業の資格②
建設業界は「野外組立産業」といわれるように、発注者の指定する場所、天候や立地条件に、常に左右され、一つの現場に元請けや多数の下請け、関連業者が一体となって仕事をしていくという「受注産業」であるため、カンと経験または個人的な思考のみに頼ることが多く、社会的にいろいろな諸問題が発生しやすい企業です。
このような他の一般製造業の工場生産とは異なる特殊性のある条件の中で、建設業者は「生産性(より良く、より早く、より安く)の向上」を図り、「労働者の安全と衛生」を確保し、「公害の発生や第3者災害の防止」に注意して、仕事していかなければならない業種です。
また建設業は、国の「基幹産業」とも言われ、国・地方公共団体等の「公共工事」を請負っており、国民の「血税」で工事するため、生産性を向上させる技術や安全管理、公明誠実等が社会的に強く要請される産業である。そのため、国の各省庁が行政の政策で、その目的や規制に応じて、「建設業の許可」等の「許認可」やいろいろな業務、作業に「国家資格」の取得と配置の義務付け制度を厳しくしています。そこで、建設業者であるならこれだけは覚えてほしい、社員一同もこれくらいは知っていなければならない各省庁の役割や制度と、仕事に必要な資格の組み合わせを簡単に述べたいと思います。
国土交通省による、建設業法は、建設業者の経営・管理の向上と現場における適正な施工技術の確保を役割の目的にしており、労働者の安全や公害等についての指導、規則などの役割はありません。
この業法では建設業を「土木」「建築」「管工事」「電気工事」など「28業種」に分類し、また建設業の許可には、「知事」と「大臣」許可の2種類があり、更に知事・大臣許可と共に「一般」と「特定」許可に分けられます。この法律では技術者を大変重要視しており、「一般」で許可を取った業者なら、事務所に2級同等以上の資格を持っている技術者が必ずいなければなりません。この人は現場との掛け持ちはできません。これが「営業所ごと」に専任で置かなければならない専任技術者です。この人は、主に事務所にいられる人が適任であり、社長でも専務でも女性事務員でも可能です。そのほか、現場での工事が始まると、現場には別に、2級同等以上の技術者を必ずつけることになっています。更に、請負金額2500万円以上の公共性のある工事を施工する場合は、現場の掛け持ちもできません。そのような場合は、現場の数だけ技術者(主任技術者)が必要です。
「特定」で許可を受けている業者も事務所には専任技術者、更に現場ごとに監理技術者を配置しなければなりません。この場合、専任・監理技術者とも、1級技術者のみに限定されます。
「未来への地図」③ (2002/02/09 2面)
(株)建設管理センター代表取締役社長 音喜多忠雄氏
前回、必要な技術者についてふれましたが、今回は「一般」と「特定」の違い等についてもう少し詳しく述べたいと思います。
現場の人に「君の会社は一般か特定か」と聞いても意外に答えられない人が多いものです。
特定というのは、元請けとして3000万円(建築4500万円)以上、下請けに下ろして仕事をする業者です。元請けの請負金額で規制されるのではなく、下請けに出す下請け総金額が対象になっているという事が重要なのです。
これは、特定建設業の許可制度の目的が第一には下請業者の保護にあり、第二が発注者の保護ということです。
しかし、封建性の古い体質を多く引き継いでいる建設業界においては、この主旨についてほとんどが理解されていません。
全国で行う国家資格取得研修会で受講生が一番理解できない所です。この主旨が理解できれば業法の難解な所がわかり、高得点が期待できます。
この法律は、終戦後一気に他の法律(395種類の法律)と共に、マッカーサー元帥により民主主義を基にして初めて作られました。特に民主主義のルールに不慣れなこの業界では、当初からザル法になり、数次の改正を経てきたもののあまり理解、浸透されていません。そのため、不適格や悪い業法が多くはびこっているため、技術力のある真面目な業者がやっていけなくなる危険性が多く、建設業の健全な発達が望めなくなってきています。
バブル経済期においては、大手ゼネコンさえもこの主旨を無視して便宜主義に走り、半分以上が現在経営危機に陥っています。
建設業法における民主主義とは発注者、元請け、下請けがお互いに対等で公正な合意に基づいて誠実に契約の内容を履行する(契約の三原則)ことです。
昭和63年度の大幅な業法改正により、このルールをより徹底してザル法になっている部分を返上させました。改正された重要なポイントは、特定建設業の7業種が指定建設業になったことです。土木、建築、管、鋼構造物、舗装、電気、造園で許可を受けている業者にとって非常に厳しく変わってきました。財産基礎は8000万円以上で技術者は1級の国家資格者がいなければ許可が取り消されてしまいます。
本来元請けと下請けという関係は、封建的な上下の関係でなく、お互いよきパートナーシップをとるべきです。下請けの請負代金においても、元請けは常に預かっているという立場を忘れずに仕事が終わったらできるだけ早く支払う(業法では30日以内)という業務を忘れてはなりません。特定の主旨は財力や技術力のない不適格な元請けが下請け代金を悪用(借金の返済等)することを防ぐ下請業者の保護であります。そのため、下請けに出す金額で元請けを規制し、建設業の健全な発達を図っています。
「未来への地図」④ (2002/02/16 2面)
(株)建設管理センター代表取締役社長 音喜多忠雄氏
建設業法における特定と一般の許可基準や現場技術者の配置基準の背景や主旨がほとんどの人に正しく理解されていません。
国土交通省はこの点を懸念して、建設会社の体質改善と技術の向上のために、民主的な改善をおし進めています。しかし、3500もの地方自治体では民主的改善が遅れており、行政指導の遅れ等もあり、建設業法が一層理解されていません。省庁再編や自治体の合併でより一層の合理化が図られています。
21世紀という節目の年を迎えたことにより、建設業者の技術と経営を二大要素として、より強く充実させることが重要です。さらに新経営審査事項の適用と施工体制台帳の現場保持の義務付けも制度化されており、新経審では、1級技術者の評価を従来の5倍、2級を2倍にしました。施工体制台帳にも必ず4次下請けまで技術者名を記入しなければなりません。
このように技術者はますます重要視されており、2005年にも建設会社と技術者がオンライン化され、民間でも簡単に、どこの会社に1・2級の技術者が何人いるのか、ホームページですぐに見ることができるようになります。そこで建設会社では技術者の人数が信用の証しとなる時代がくるのです。この業界にも急速に民主化が進んできているということなのです。
これから公共工事数は減少し、工事単価も一層厳しくなる中で、今まで通りの経営方法では対応できなくなってきています。
建設業の許可業者、技術者名簿や公共工事等がすべてコンピューター管理されているため、たとえ建設業の許可をとっていても、発注官公庁は、技術者の不足している業者を最初から指名業者には指定しません。現在の一般競争による入札制度でも指名委員会の場で、「この業者は技術者不足なので指名からはずそう」ということになってしまいます。このように指名の選考が以前より厳しくなっているので、どのようなコネを使っても、技術者がいなくては指名させません。すべて技術者の人数で仕事量が決まってしまうという時代になっています。
また、民間工事においても、問題が生じた場合に適正な技術者の配置をしていないと、発注者に対して正当な権利を主張できなくなります。また現場で事故を起こした際に、現場に資格を持った施工管理者がいなければその責任がとれないので、法的に処罰されたり、労災が適用されずに、結果として会社の存続自体も危ぶまれることになってしまいます。








