組織再編制度活用編その1
【組織再編制度の成立の背景は】
ある高級官僚の独り言…太平洋戦争での敗戦からバブル崩壊まで「欧米に追いつけ追い越せ」をスローガンに経済成長することができた。そして崩壊後10年余…経済はボロボロのまんま…これではいけない…。
よし、前回の法則(追いつけ追い越せ=マネをする)通りにもう1回やろう。ついては、会計も欧米式を取り入れよう(キャッシュフロー計算書、税効果会計・時価会計などなど)…そして欧米式のグループ経営体制の確立も促進しよう…そのために企業再編を促進する新制度もどんどん制定しよう(株式交換・移転制度、会社分割制度、会社組織再編税制などなど)…といった具合。
この新制度を活用することが勝ち残り戦略のポイントの1つであります。ではこの新制度の概要を説明します。
【新制度その1~株式交換制度】
[概 要]これまではA社がB社を買収するには多額のキャッシュを用立ててB社の株主に渡さなければならなかった。この制度ではA社とB社株主との間でB社株式とA社株式とを交換することにより、それまでのB社株主は新たにA社株主となり、結果としてA社はB社の全ての株を取得し100%子会社にすることができる。
つまり多額のキャッシュを用立てる手間をかけずにただ新たに株券を発行するだけで会社を手に入れることができるようになったのである。極論すれば「株券=現金」の時代が到来したのである。
[メリット・デメリット]親会社(A社)のメリットは、①多額の買収資金の準備が不要となる②株主の3分の2以上の議決で全株式が集められるので合法的に100%子会社とすることができる③グループ経営を行いやすくなるなどがある。
デメリットは、①100%買収しかできない②親会社に新株主(元B社株主)が参入してくるなどがある。子会社(B社)のメリットは、①再編税制の優遇措置が受けられる場合が出てくる②企業自体は消滅することなく残せるので社員・取引先との関係は安定させやすいことなどがあり、デメリットは、①手続きが通常の買収より煩雑になる②買収に反対の株主も交換せざるを得ないなどがある。
組織再編制度活用編その2
今回も前回に引き続き新制度の概要を説明します。なおこの制度について読者が気をつけておかなければならないことの1つに、自社がこの制度に興味があるかないかばかりではなく、地元の競合他社がこの制度に着目して活用し始めたら自社はどのような影響をこうむるかをも含めて考えなければならないということがあります。例えば同規模の他社2社がこの制度を使って合併し営業力や経審点数のアップを図ったとき自社はどうなるか…いったことです。このことを踏まえてこの記事を読んでいただけると、自社の戦略と連動した新制度活用のイメージがしやすくなると思います。
【新制度その2~会社分割制度】
[概要] 会社分割とは、自社が営んでいる営業内容の一部又は全部を他社へ引き継がせてそれから手を引くものなので、「会社」の分割というより「営業」の分割と考えるべきであります。その営業に関する権利・義務の全てを一括して引き継ぐ会社へ移転するため、一つ一つ個々に移転を行う必要はありません。例えば債務・債権・社員の雇用関係、資産の所有権、賃貸借契約など全てがこれに含まれます。
[分割の種類] 以下の4つの種類があります。①引き継ぐ会社が新設された会社の場合は「新設分割」といい②引き継ぐ会社が既存の会社の場合は「吸収分割」といいます。③営業を渡した「会社」がその代わりに営業を引き継いだ会社の株式を受け取った場合は「(分社型)物的分割」といい④営業を渡した会社の「株主」がその代わりに営業を引き継いだ会社の株式を受け取った場合は「(分割型)人的分割」といいます。
[分割の例示]
- ・分社型新設分割 B部門で新会社を設立しその代わりに新会社の全株式を元の会社へ交付することにより新会社は元の会社の100%子会社となる。
- ・分割型新設分割 B部門で新会社を設立しその代わりに新会社の全株式を元の会社の株主へ交付することにより新会社は元の会社とは直接関係はなくなり、株主は元の会社と新会社両方の株主となる。
- ・分割型吸収分割 既存のC社へB部門を移転しその代わりにC会社の株式を元の会社へ交付することにより元の会社はC会社の一部の株式を保有することになる。