山田君のコストダウン挑戦日記
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しかし、石井の必死の訴えを聞き、「自分と同じ心境なんだ」ということを痛いほど感じた。 この時の山田の思考法をなぞると以下のようになる。労災申請をした場合、確実に自分や会社に ペナルティが与えられる。そして石井の会社は立ち行かなくなる。これはほぼ確実なことだ。 逆に見送って、それが発覚した場合、やはり、自分や会社にペナルティが与えられ、石井の会社も 終りだろう。でも、それは確実ではない。発覚したらそうなるという恐れだけだ。犯罪者となるリスクも あるが、事故を公にしても犯罪者となるリスクが消えるわけではない。同じことだ。 山田は、ここから論理的な結論を導いたのである。それが良かったのか悪かったのか、山田には今でも 分からないのであった。 今回の話は、「もう時効だから」と山田君が話してくれたことです。重たいテーマですので、さすがに 疲れました。次のエピソードは、別の意味で重たい実話です。

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