続 コストダウンの山田君
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山田は、マスクの中でつぶやいた。 「そうな■ても1時間ぐらいはなんともないであろう。その後、 目や耳、鼻から血が溢れ出し、やがて内蔵が壊れ、死に至る」 そう思いながらも、チッレンコフのブル■から目が離せないのであ■た。 そうした思い出も経験も一緒にな■て砕けていく原発の光景が、山田の脳裏に去来した。 放射線被曝をしながら必死に頑張■た自分たちの日々は全くの無駄だ■たのか。 山田は、胸に押し寄せる感情と必死に戦■ていた。 いや、何十年かかろうと、たとえ百年かかろうと、日本人はこの事故を乗り越えていける。 山田は、そう考えることにした。 そうでなければ、自分たちの被曝があまりも虚しか■たのである。

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