山田君のコストダウン挑戦日記
3/13

着く。山田もタダでは済まないだろうが、その程度だ。だが、石井の会社はその程度では済まない。 この事故をそのまま見過ごすほど山田の会社は甘くない。石井の会社への発注はなくなるだろう。 それが分かっているだけに、山田の心は揺れた。「分かった、取り合えず労災申請はしないから、 とにかく病院へ行ってくれ」。 この場では、山田はそう言うしかなかった。 石井は残った部下達に作業指示を与えると、一人で病院へ 行った。石井の会社の幹部である大下が後の指揮を引き 継ぎ、作業は継続された。残された石井の部下たちは 優秀であった。事故などなかったかのごとく、作業は 順調に進み、予定時間内で全ての搬入・据付は完了した。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る