鹿児島建設新聞

岩﨑電設 岩﨑孝和

Profile

小さい頃からラジオなどモノづくりが大好きな少年だった。川内商工高校電気科を卒業して会社を立ち上げ、電気工事を手始めに土木、とび、水道、建築・電気通信へと事業を拡大、現在の地歩を築いた。家、ビルなどの構造物に電気という神経・血管を張り巡らす仕事に誇りを持ち、向き合ってきた。経営モットーは「真心と感謝,安心・安全」。家族は千鶴子夫人と2男1女。孫は6人。趣味はゴルフ。好きな言葉は真心。会社所在地は出水市上知識町90。阿久根市西目出身の70歳。

父親が戦地で負傷、結核を患い9歳の時に38歳で他界したため、母1人子1人の家庭で育った。学校まで8kmの山道を歩いて通学した。中学卒業後、電気工事会社に就職。働きながら川内商工高校電気科(定時制)に学び、しばらく民間企業で働いた後1970年、22歳の時に出水電気設備工業を興した。創業当初は、知らない土地で人脈もなく、午後10時ごろまで夜回りの営業に徹し、顧客を1人ずつ開拓、必死で働いた。

結婚と創業時が重なったこともあって、これを機に好きな晩酌もピタリと止めた。お客様の急な修理依頼に対応する24時間態勢を整え、コツコツ信頼と実績を積み上げ、〝真面目に真心の経営を〟が自分に課した仕事訓。資金繰りなどにも苦労、山あり谷ありの経営だったが周囲の人の助けもあって、危機を乗り越えてきた。この道一筋48年。

苦しい時は「自分が好きで選んだ仕事。負けてたまるか」と、山道を歩いて通った小中学校時代を思い出し、踏ん張った。病気をすることもなく、「丈夫な体をありがとう」と母親に感謝しながら、仕事に励んだ。次第に口コミで紹介客が増え、業種を拡大させる中で会社経営も軌道に乗った。平成4年7月に社名を岩﨑電設に改名、現在に至る。

信号清掃作業

これまで、出水電気工事工業協同組合の理事長を24年間に渡って務めるなど業界発展のけん引役、まとめ役として活躍、業界の地位向上などに大きく貢献した。平成24年から出水商工会議所の会頭に就任し、温厚で責任感が強く、組合員の信頼も厚い。電気保安功労、浄化槽関連事業の向上・発展、環境衛生事業に尽力した功績などで経済産業大臣賞、厚生省生活衛生局長賞、県知事賞、環境大臣賞など受賞も数多い。2012年には黄綬褒章を受章。「まさに内助の功。ありがとうの一言に尽きる」と、妻への感謝をあらわす。

従業員には「君たちはわが社の大きな宝物」と資格取得にも積極的で、費用も全面支援。全員で切磋琢磨して技術力向上に力を入れた。29人が1人当たり平均4つ以上の国家資格を取得、先輩から後輩への技術継承、現場での指導にも意欲的。一昨年7月、9月の2度、脳内出血で倒れたが早期発見であったことと、医師の方々による素早い対応により幸いにも体調は順調に回復。「これも社を挙げて20年前から朝礼で音読、声掛けによる健康経営に取り組んできたお陰。全員の体調や精神状態を把握することで、社員の意識も向上した。社員の健康こそ大事な財産。〝人財〟を育てることが企業発展の礎」と、胸を張る。

苦労を掛けた母親は1987年に62歳で天国へ旅立った。早すぎる死だった。「孝行したい時に親はなし。今になってみれば、あれもこれもと反省ばかり。でも自分が頑張ってきた姿は少しは見せられましたかね」と、母を偲ぶ。

電設業界は、電気・設備工事にオール電化、太陽光発電などが加わり、ICT、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)など高度化・多様化が進み、技術革新への対応が求められる。その一方で担い手不足も大きな課題として立ちはだかる。「ベトナムなど外国からの受け入れも真剣に検討すべき時期に来ている」と、大局的立場から先を見据える。

アナログからデジタル化社会へ。「急速な情報化社会が進み、目に見える仕事が減り目に見えない仕事が増えている。自分たちの立ち位置、方向性をしっかり見据え対応していく戦略が求められる」と、注文をつけることも忘れない。目指す企業像は「一にも二にも信頼される企業」。いただいた名刺には「いいものを真心にのせて」とあった。

マチ・テラス風景

昨年、3回目を迎えた「いずみマチテラス」(出水商工会議所など主催)では、竹灯籠の連続点灯記録がギネスに認定されるなど、職人技を生かしたイベント開催で地域経済浮揚にも大きく貢献している。

更新日:2018年1月

お知らせ

    CPDS・CPD認定講習会

    新聞購読お申し込み メルマガお申し込み

    KISS-WEB会員情報を無料で
    お試しいただけます

    無料体験申込

    デモはこちらから↓

    KISS-WEB会員情報デモ版

    PR情報

    アンケート調査