鹿児島建設新聞

大 進 山内康功

Profile

れいめい高校、大阪工業大学土木工学科卒業後、大阪の鉄工会社、地元のコンサルタント会社勤務後、さつま町(旧宮之城町)で大進測量設計を立ち上げる。特別上級土木技術者(土木学会マネジメント)の資格を保有、技術者の視点から理論的に災害、地域の状況などを具体的に分析、方向性と課題を示す目は確かだ。この人を語るときに努力家、勉強家という表現は欠かせない。家族は妻と一男二女。趣味はマラソン、空手、カメラと多彩。薩摩川内市高江町出身の68歳。

1978年(昭和53年)に総合コンサルタントとして、地域のよりよいインフラ整備に貢献できる企業を—と、28歳の若さで会社を立ち上げた。しかし、仕事も金も実績もない。銀行からの100万円の借り入れも容易ではなかった。一時は途方に暮れ、社員を自治体に研修名目で貸し出した。元々設計もできる技術営業マンだっただけに「いい仕事をするね」と評価されるようになり、仕事の受注も徐々に増え、信用と実績を上げるために奔走した。創業当初は、尺取り虫のように、一歩一歩前進する経営だった。

社名は、大きく躍進する企業を願って名付けた。平成3年に大進測量設計から大進に商号を変更。コンサルタント会社は、資格者数で評価付けされることから、社員の資格取得、技術の研鑽には力を入れ、98人で延べ345個の資格件数を誇る。その内訳は、測量士、地質調査技士、ダム管理技士、コンクリート診断士、APECエンジニア、道路橋梁点検士など多彩。その道のプロフェッショナルとして、常に意識を持ち続けることが必要と、社内技術発表会を開催。社員同士の切磋琢磨にも余念がない。

地道に実績を積み上げるうちに仕事ぶりが評価され、官公庁からの表彰も増え、地元の薩摩川内市、鹿児島市からも支店、本社機能の誘致話が来て、現在の体制を整えた。次の大きな目標は福岡進出。「なかなか前例や実績もなく、難しいが〝九州の大進〟へ飛躍を図りたい」と、前を見据える。

測量作業 測量作業

目指す企業像は、地域とともに歩き、評価される会社へ。「鹿児島県内の社会インフラはよそに比べると遅れている。プロとしての熱い思いを全力で注ぎ込みたい。この業界は業種が多岐にわたり、多様化が進む。造ることも大事だが長寿命化へ向けた維持管理、メンテナンスも求められる」と、IT+三次元CAD化の推進、ドローン投入など精度向上にも目を向ける。

経営者として一番重視していることは、社員の所得向上、技術のストック、地域社会への貢献。それを支えるためには、日々の仕事の品質・工程・コスト管理の徹底が必要。単に数字だけを追求するのではなく、人としての人間性、専門技術者、プロフェッショナルとしての意識を持ち続けることが何よりも重要—と、すべてに意識の高さを求める。こうした技術者育成に向けて一番求められているのが待遇改善。「瑕疵担保責任だけが強く所得に見合っていない」と現状を危惧、技術者の賃金見直しも視野に入れる。

また、一つの経営事例として「腕のいい大工さんは、お客さんから指名がかかるでしょう。プロとしていい仕事をすると、仕事が寄って来る。このプロに徹するという意識こそ、大進の命。技術者という人の資本が財産ですから…」と、こだわりの経営哲学を語る。

コンサルタント業界は成熟期を迎え、他社との差別化、より一層の専門化・分散化が経営課題。IT・ビッグデータによるスキルアップ、人材育成の問題も浮上する。

学生時代に汚れた川を見て、故郷の環境を守り、地域活性化に貢献しようという思いから興した会社。その故郷に注ぐ眼差しは今でも優しい。

鹿児島県内で数少ない特別上級土木技術者の肩書に負けないように早朝5時には起きて3時間を自主学習に充てる。「私にとって貴重な時間。資格を維持するためには日々の勉強は欠かせない」と、エネルギッシュな地球創造集団を率いる経営トップはきょうも元気だ。

更新日:2017年12月

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