鹿児島建設新聞

市坪建装 市坪孝志

Profile

甲南高校から明治大学工学部建築学科を卒業。設計事務所勤務を経て帰郷。家業の市坪建装の経営を引き継ぐ。(一社)日本塗装工業会鹿児島県支部支部長。鹿児島県橋梁構造物塗装協理事長。ほかに建設業界の要職も務める。事業の主力は塗装、とび・土工、防水工事、リフォーム。4人家族で現在は絹代夫人と2人暮らし。「初孫はかわいい」と微笑む。趣味は温泉入浴。好きな言葉は「念ずれば花開く」。南さつま市出身の61歳。

地元の信頼が得られて初めて企業は存在する。だから技術・技能・知識に優れた〝人財〟育成は不可欠。雇用を生み、地域・社会に貢献する企業を目指す。「塗装業界は専門技術のプロ集団。パイの取り合いではなく、その市場規模に見合ったエリア戦略、安定経営を持続するため共存共栄が大切」と、現状を見据える。そこには、おいしい焼酎が飲めて、温泉に浸かり一日の疲れを癒やせる日常の幸せを大切にする哲学がある。

会社の創業は昭和35年8月。父の慶三郎氏が佐賀市の伯母の家に塗装の見習いに行ったのがきっかけで、長崎出身の職人を引き連れて帰郷、鹿児島市郡元町で個人創業した。3年後に法人化、経営基盤を築いた父が病に倒れ、入退院を繰り返すうちに孝志さんは呼び戻された。設計の仕事にあこがれ、2年が経とうとしていた頃だった。5年間の専務取締役を経て昭和62年に他界した先代の跡を継ぎ2代目に就任した。

市坪孝志代表取締役 この間、業界は激変。「山あり谷ありでスリリングだった」と振り返る。まず経営理念の中心に据えたのは「企業は人なり」。「人を財産として育てなければ将来の展望も見えず、立ち行かなくなる」と、技能・技術屋集団の育成に力を入れた。社費で、従業員の資格取得にも積極的に取り組んだ。自らも一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士を取得。このほか衛生管理士、危険物取扱主任者(乙種)、防錆管理士、ビルディングドクター、一級鋼橋塗装技能士、樹脂接着注入施工主任者、増改築相談員など実に多彩。こうした地道な取組みが技能・技術へのこだわりを生み、社員の意識向上と施工品質アップへ繋がり、施主への思いやりにも通じる。

「1人で出来ることを2人でやる。すると2・5倍の相乗効果が生まれる。時間の短縮化にも繋がり、みんなが力を合わせるという意識も生まれる。もっと動きやすく楽にと、人間工学的システムや工具などを工夫することで知恵も生まれる。ここで一番大切なのはコミュニケーション」と、仕事の効率性を上げる工夫も取り入れる。

塗装工事業、建設専門業界は今でこそ、分離発注やリフォーム工事などで追い風の吹く注目の業界になってきてはいるが、少子高齢化や業界のイメージの悪さなどから技能者や若手入職者が伸び悩む。さらに地元建築会社や訪販会社等の参入で塗装業界は市場競争が激化、そんな中でどこに需要を求めていくのかが大きな課題。こうした状況の中で民需だけでなく、今後は公共土木工事の橋梁コンクリートなどの補修・塗装にも目を向ける。「コンクリートも雨水などが浸透、中性化することによって劣化が進む。こうした工事は、まだ行政の壁が厚く、難しい面もあるが、逆によしやってやろうという意思をエネルギー源に変えて取り組む必要がある」と強調する。

施工事例

仕事は、常にお客様目線で考え実践。「市坪さんだったら安心して任せられるよ」と、顧客が口コミでお客様を紹介してもらえる、地域に根差し愛される企業を目指している。その原点はヒューマニズムである。b課題は人材育成と若者の入職促進。「雇用によって地域、社会の活性化に貢献するのが地場企業。施工エリアもバランスを考え、地域でどれぐらいのパイがあるのか市場規模を見て判断する必要がある。地域密着でアフター・メンテナンスも考慮すべき」と、業界の将来を考える。

また、11月16日の「いいいろの日」の学校の門扉や公園の遊具等の塗替え、8月4日の「橋の日」の子どもたちのスケッチ大会開催や地域清掃活動などボランティア活動にも積極的に参加、業界のリーダーとしてアイデアを出し、みんなを引っ張る。

鹿児島青年会議所(通称・JC)時代には、国際交流委員長の大役を務めた。フィリピンのピナツボ火山の噴火災害の際には現地に足を運び、自分の目で現状を確認した上で「病院・薬・医師が必要」と、当初の学校建設から方針を変更して募金活動に向けた準備を行い、翌年、後輩たちがその目的を達成した。このほか韓国・利川青年会議所との姉妹交流やホームステイ事業に力を入れ、鹿児島空港の国際化・24時間体制に向けた機能整備提言書作成などにも携わった。この時の友人たちとの関わり、交流の経験がリーダーシップの力量を高め、経営者の資質アップに役立っている。

更新日:2016年1月

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