鹿児島建設新聞

匠蔵 濵田精蔵

Profile

川内実業高校建築科、名城大学理工学部建築学科を卒業後、地元の建設会社勤務を経て昭和63年に個人創業。久美子夫人との二人三脚経営で会社の基盤を築く。趣味は、釣り、ゴルフ、山登り、米づくりなどと多彩。夫人と子息2人、娘1人の5人家族。嫁いだ娘のゆかさんも家業を手伝っている。好きな言葉は「素直」。「一歩一歩着実に歩む人生」が目標。いちき串木野市出身の63歳。本社は、薩摩川内市中郷2丁目16−33。

これまで培ってきた技術を生かして、工場の生産設備、機械炉の基礎工事などを手掛け、業績を積み上げている。子息2人の後継者にも恵まれ、「近い将来、原点である家づくりにも力を入れたい」と、創業時の思いを新たにしている。さらに仕事の合間を利用して製作した手づくり灯ろうを故郷の神社に寄進するなど、ボランティア活動にも意欲的。にこやかな笑顔からは、苦労人の経歴をうかがい知ることはできない。

この道に入ったきっかけは、小さい頃、土木工事業を営む父・精次さんから囲炉裏端の膝の上で「お前は建設業に進むんだよ」と、言われ続けたこと。「親父の言葉に洗脳されたんでしょうね」と、苦笑する。その父が中学校1年の時、事故で急死。母親は6人の子どもを抱え、困窮の生活が続いた。

濵田 精蔵 氏 おふくろ一人に負担を掛けるわけにはいかないと、中学を卒業して高収入が得られるマグロ漁船に乗り込んだ。一年目の仕事は、マグロ延縄漁の仕事をしながら乗組員18人分の給仕。航海の途中コック長が病死。その代役を任されて慣れない料理づくりにも挑戦した。「海の上では逃げ場もなく、毎日が辛く地獄だった」と振り返る。その後、高校、大学とアルバイトで学資を稼ぎ、家計を助けながら父が託した夢を追った。

大学卒業後、現場監督などを経て昭和63年に会社を創業、匠の技を受け継ぐ思いを込め「匠蔵」と名づけた。総合建設業として立ち上げ、許可業種は土木、建築、大工、とび・土工、石、防水。民間8割、公共2割の内訳。

工場の生産ラインは、人気商品や市場動向に対応、その時々で間仕切り壁、床、設備などを拡張したり、縮めたりと変更を求められる特殊工事。常に高い精度と工期厳守を迫られる。建築、土木事業で培ってきた様々な技と経験が生きる。「仕事は結構忙しくさせてもらっている。どんな要望にも対応しなければならず、これまで培ってきた技術が生かせる」と、濵田社長。まさに工場の生産ラインを支える縁の下の力持ち的存在だ。

創業時は、住宅づくりが主で年間平均10棟、これまでに約100棟の実績がある。ここ数年は数棟を手掛けるのみで、メンテナンスが中心。「快適な木の家づくり」が売り物だが、少子高齢化で住宅市場は厳しい。「後継者も育ってきて、将来は注文住宅の仕事も復活させたい」と、決して諦めてはいない。

神社へ寄進した灯ろう

勿論、会社のモットーは地域密着。仕事の恩返しの思いを込め10年前から故郷や地元の神社に手づくり灯ろう約60基を寄進している。高さは1m30㎝の木製で、火袋4面は格子組細工、銅板葺きの屋根。鮮やかな朱塗りは、車両用の高耐候性塗料でどぶ付けし、柱は腐朽防止のロックウッドを採用。プロの技が随所に生きる本格的なもの。寄進後、神社の境内周辺が賑やかになり、地元の棒踊りなど祭が復活、地域活性化にも貢献している。

更新日:2015年11月

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